スイス旅行、リフティング
次の日、単独でリフティングに参加することにした。
事前にこの日、KさんとⅯさんがどこかの町に訪れることをつかんだ。
Kさんに、「お土産を二つ買ってきて欲しいのですが。」と紙幣を渡した。
リフティングに参加した日本人は私一人だったので、「JAPAN」と呼ばれた。リフティングは初体験だった。私のチームは男4人女2人だった。危険なことは何も起こらなかったが、川の中の岩にぶつかり、ボートが浮いた瞬間前のイングランド人の男の子が思い切りのけぞり、私の顎に彼のヘルメットが直撃した。私は脳震盪を起こした。意識はあるが、体が動かない。インストラクターに「JAPAN!JAPAN!」と呼びかけられたが全く動けなかった。そのうち「Hallo!!」と呼ばれ、緊急事態に突入したと思ったので、力を振り絞り、頭を動かして「OK」と言った。それを確認するとインストラクターは私に注意を払わなくなった。
川はブリエンツ湖に注がれていた。ブリエンツ湖は真っ青でどこまでも深く美しかった。一人ずつ湖に飛び込んだ。私が飛び込んだ時サングラスが湖に沈んだ。
その晩はS夫妻とメンバー5人でチーズフォンデゥを食べに行った。寝不足と疲労で食欲が無かった。小さなことで怒りを爆発させていた。Kさんとサラダバーに行った時、食欲が全然無いことを伝えた。
Kさんからお土産を受け取った。旅の話は伺っていない。
夜明けの頃だった。悲しかった。声を殺してすすり泣いた。私の声は部屋の中に響いていたのだろうか。
Kさんを起こし、ラウンジに行った。
「私、お兄ちゃん探しているんです。」
「きんぎょちゃん、お兄ちゃん探しているの。」
Kさんも涙声になった。
Ⅿさんが部屋から降りてきた。私は涙を拭いて「おはようございます。」と言った。
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