スイス旅行、エンゲルベルク

次の日の朝、食堂で、Kさんの顔が今までよりも輝いて見えた。
 「Kさん、きれいですね~。」
 しげしげと見つめながら、思わずKさんにつぶやいた。
 Kさんは「そう。」とあまり取り合う風もなかったけど、
ⅯMさんとの仲で確信したものがあったのかもしれない。

 MⅯさんも静かだった。

 自転車を戻しに行く前、MⅯさんが「貸して」といい、自転車にまたがって、坂道を駆け下りた。

 それからMⅯさんにカメラを渡して私が自転車に乗るところを
写真に収めてもらった。

 ユースホステルの前で記念撮影をするために、窓から外を見ていた人を呼び出して、カメラで3人を写してもらった。

 エンゲルベルクを出てからKさんはMⅯさんにぴったりと寄り添っていた。一生懸命彼の背中を追いかけて、そんな姿を遠くから眺めていた。

 電車に乗るとき、Mさんは自分のリュックを持たずに機体だけ持って乗ってしまった。私は「まったく…」とつぶやきながら、Mさんの荷物を持って電車に乗った。

 ⅯMさんは私のことを思っているのだろうか、それは分からない。でもKさん一筋には見えなかった。Kさんは一途にMⅯさんを見ていた。彼の本心がつかめないでいた。

 飛行機はKさん、MⅯさん、私の順に並んだ。私は相変わらず眠れなかった。KさんとⅯMさんは額を寄せ合って眠っていた。私はその姿を写真に収めた。

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