スイス旅行、エンゲルベルク

エンゲルベルクは私とⅯMさんのための町だと思った。MⅯさんはKさんから私についてはいろいろ聞いていて、Kさんは私とMⅯさんのキューピット。そんな願いがあった。

 ユースホステルで一緒の部屋がいいと言ったのはKさんだった。私は上のベットを陣取り、MⅯさんとKさんは下のベットで縦に並んでいた。

 「計算高いヤツだ。」

 ⅯMさんがいらだたしげに言い放った。私はびっくりした。どんな態度がそう言わせたのか分からなかった。

 「全部知ってるくせに。」
 「どうして俺には言わないんだ。」

 「全部知っている」この内容はさっぱり見当がつかなかった。
どんなことが起こり、私は何を知っているのだろう、知っていることなど何もない。。そんな気持がグルグルと回っていた。

 MⅯさんに私の胸のうちを語ることはどうしてもできなかった。
「お兄ちゃんがいなくて辛い」と言えなかった。

 次の朝、意を決してKさんとⅯMさんを誘った。

 「話があります。」

 簡潔にまとめて今までの出来事を説明し、
 「私の話はこれで終わりです。ⅯMさんに伺います。」
 「今好きな人はいますか。」

 これではっきりすると思った。Kさんの前で言って欲しかった。

 「言いたくない。」

 これが彼の答えだった。

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