見出し画像

NI Massiveの勉強部屋③センターウインドウ#1 エンベロープ

Massiveでは、オシレーターやフィルター、アンプなどシンセの根幹となる部分については独立したセクションが設けられているが、それ以外のパラメーターや設定に関連するパラメーターは、右中央のセンターウインドウに集約されている。

画像1

センターウインドウ内は「General Pages(全般設定ページ)」という6つのページと、「モジュレーションページ( Modulation Pages)」という8つのページで構成されている。ちなみに全般設定ページとモジュレーションページは上下に配置されてはいるものの、主従関係にはなくそれぞれ独立したセクションだ。ここではモジュレーションページについて紹介していきたいと思う。

モジュレーションページの構成

画像2

内部のモジュレーションソースを編集したり、割り当てたりすることができるセクション。4基のエンベロープ(青)と4基のアサイナブルページ(緑)で構成されており、アサイナブルページの方は「LFO」「Performer」「Stepper」の3種類から自由に選択可能だ。

エンベロープの基本設定

画像3

4基あるエンベロープの画面。上のゾーンにある項目の機能は以下の通りだ。

Select env. preset:プリセットの選択。ファクトリープリセットとユーザーが保存できるユーザープリセットがある。
Save:現在のエンベロープをユーザープリセットとして保存。
Delete:ユーザープリセットの消去。
Trg Zero Reset(Trigger Mode Switch):打鍵時にADSRを一旦リセットしてまたAから完全に始めるモード。OFF(デフォルト):押した瞬間のADSRの値から滑らかに次のADSRのAにつながる。ON:今どんな値にいようと強制的にまた0から始まるため場合によっては不自然になることもある。
Linear(Linear Transition Switch):Decayの形を対数から線形に変更。線形だとマシンライクなサウンドになる。
Gate/One Shot/Hold:3種類のプレイモードから目的に応じたモードを選択。ノートを押している間だけ再生するか(Gate)、離しても最後まで再生するか(One Shot)、一度押したらずっと音を鳴らしたままにするか(Hold)。

ベロシティーとキートラックのセンシティビティーの調整

その下にある2つのフェーダーは、ベロシティーセンシティビティーとキートラックを調整するコントロールだ。

画像4

Velocity Sensitivity Fader:ベロシティーセンシティビティー。デフォルトはフェーダーの一番下になっており、打鍵する強さにかかわらず常に最大レベルの音量がなり、一番上にするとベロシティーの感度が高まりピアノのようにタッチの強弱が認識される。
Keytracking Fader:入力音のピッチの高さをエンベロープに影響させるかどうかを選択するパラメーター。ピッチが高いと、エンベロープのアンプは小さくなる。

ADSRのコントロールとSustainループの作成

最下部にあるのはメインになるADSR関連のコントロールだ。

画像5

[Delayコントロール]
Delay Time Control:キーを叩くときの時間とエンベロープが 始まる時間の間にディレイを入れることができる。遅れて発音させたいときに便利。

以下ADSのステージでは、それぞれ時間とレベルをコントロールする:

[Attackステージ]
Attack:打鍵から最大値までの時間
Level:最大値のレベル高さ

[Decayステージ]
Decay:最大値からSustainに落ちるまでの時間
Level:Sustainまでのレベルの落ち幅 ※通常のシンセのSustainに当たるコントロール

[Sustainステージ]
MassiveではこのSustainのステージだけ少々特殊で、Decayで落ちたレベルからSustainの間にADSRをループさせることができるいわばADSRの入れ子構造を作れる。

Loop:Sustainステージでのループ回数の指定。デフォルトではオフになっているが、上下にドラックすることで値を変更できる(ここをオンにするとSustainステージが有効になる)。
S Loop(Sustain Loop Length Control):ループした後に、Sustainのエンドポイントに到達するまでの時間。
Morph(ノブ):以下でシェイプを2つ選択した場合、左に回し切ると上のシェイプに、右に回し切ると下のシェイプになり、間はそれらの中間値をとる。
Morph(ドロップダウン):サステインステージのシェイプの選択(2つ選択可)。
Level:Sustainのエンドポイントのレベル。

[Releaseステージ]
Release:鍵盤を話した後にレベルの落ちるまでの時間

Sustainステージが特殊なので少々わかりにくいが、以下のようにDecayが減衰した後に音がループしてADSR内に別のADSRを生成し、さらにモーフィングによってユニークな動きをつけることができる。

画像6

まとめ

エンベロープの中ではSustainステージがユニークなサウンド作りに活躍しそうな特徴的な機能ではないかと思う。2つのシェイプをモーフィングできる点も人と被らないサウンドが作れそうで好印象。一般的なシンセのADSRにはない機能なのでMassiveのチュートリアル動画では省略されていることもあるが、気になる方はぜひいじって遊んでみて欲しい。

次回はモジュレーションページのLFOについて記事にしていきたいと思う。では、良いDTMライフを!

いいなと思ったら応援しよう!