見出し画像

NI Massiveの勉強部屋②フィルターセクション

前回記事の続きで、今回はMassiveのフィルターセクションの勉強。Massiveには2つのフィルターがありミックスして音を作れるのだが、初心者的にはそれが話をややこしくしているとも言える。なのでまずはアナログシンセ的な挙動をさせるためにフィルターを1つに限定し、慣れてきたらフィルターをもう一つ追加するという作戦がいいのかもしれない。

それでは、1つずつ各要素を見ていくことにしよう。

1. インプットフェーダー

画像1

2つのフィルターのルーティングを設定する部分で、「Ser」はシリアルルーティング「Par」はパラレルルーティングを指す。フェーダーの上部に「➡︎F2」とあるのは、「Filter 2に入るシグナルのルーティングをコントロールしてシリアルかパラレルかを決めますよ」ということらしい。

フェーダーを上に振り切るとシリアルルーティング=直列接続となり、フィルター 1を通った音がそのままフィルター 2に流れていく仕様。つまり1→2の順にフィルターを2回通ることになる。対してフェーダーを下に振り切るとパラレルルーティングとなり、オシレーターのシグナルが各フィルターに50%ずつ分岐して振り分けられる仕様だ。

というわけで、インプットフェーダーを以下のように3段階で考えてみる。

①基本:完全シリアルルーティング(Filter 1のみ使用)
②発展:完全パラレルルーティング(Filter 1 + Filter 2を50%で分岐)
③応用:両者のミックス値(Filter 1 + Filter 2を好みのパーセンテージで分岐)

通常の用途であれば①でほとんど賄えるのではないだろうか。

2. フィルターバス

画像6

Massiveのフィルターは「フィルターバス(Filter Bus)」と表現されている。つまりフィルター専用バスを2つ用意したので、ご自由にフィルターをインサートしてください、という感じのといったところだろうか。フィルターを使わないならここのバスはスルーでも良いし、とりあえず「Lowpass 4」を指しておくのが無難。

以下のように12種類のフィルターが用意されている。

スクリーンショット 2021-03-02 16.08.22

こちらも基本、発展、個性派と、3つに大別。最初は①のグループのみで良いだろう。

①基本
•Lowpass 4/2:ローパスフィルター。カットオフより上の周波数を全て、1 オクターブあたり24/12db分減衰する。
•Highpass 4/2:ハイパスフィルター。カットオフより下の周波数を全て、1 オクターブあたり24/12db分減衰する。

[メモ]名前の4と2はスロープの「24db」と「12db」で、減衰するカーブが異なる。24dbに比べ、12dbはフィルターの切れ方が緩やかになる。

②発展
• Allpass:オールパスフィルター。全ての周波数を通過させるが、シグナルの位相が逆になるのと、周波数を保持しつつレゾナンス効果が得られるのが特徴。
-------------------------
• Double Notch:ダブルノッチフィルター。notchとは、「V字型の刻み目」のこと。それがダブルなので、V字型のカットが2箇所に入るフィルターとなる。
-------------------------
• Bandpass / Bandreject:バンドパス/バンドリジェクトフィルター。12dbの緩やかな減衰スロープとなっており、帯域幅は調節可能。設定したカットオフ周辺の周波数帯域内の全ての周波数を通過させたり、遮断したりできる。

③個性派
• Scream:内部フィードバックが追加されたローパスフィルター。Screamパラメーターでフィードバック量をコントロールできる。レゾナンスと組み合わせると強力なフィルターサウンドを生成可能。
• Daft:ローパスフィルターの一種。モジュレーションオシレーターとの併用で独特な効果が得られるとのこと(未検証)。
• Comb:くし形(comb)ローパスフィルター。フィードバックと減衰が調節可能で、「Feedback」を左に回し切るとかかりがゼロとなり、右に回すとくし型のフィードバックがかかる仕様だ。
•Acid:ローパスフィルターの一種のようだが、なぜかマニュアルに記載なし。ローパスの高音域に少しクセをつけ、ビットレートを低くしたようなローファイな感じになる。

それぞれのバスの右にボリュームがあるので、必要に応じてそちらも設定するのが良いだろう。

3. MIXコントロール

画像5

2つのフィルターから出力される音をコントロールするミキサー部分。

上の「Mix1」に振り切るとFilter 1の音のみを通し、下の「Mix2」に振り切るとFilter 2の音のみを通す仕様。中間値では2つのフィルターの音をミックスすることができる。上述したインプットフェーダーとフィルターバスのボリュームが影響するので、それらを考慮した上でルーティングを考えて見るのが良さそうだ。

まとめ

Massiveのフィルターセクションは「インプットフェーダー」、「フィルターバス」、「MIXコントロール」の3要素で構成されている。シリアル/パラレルルーティングで幅広い音作りが可能なので、慣れてきたらルーティングをどんどん複雑化していくと面白そうだ。

フィルターの種類も多様でDouble Notch、Daft、Combなどはサウンドデザイン的に結構使えそうなので、ローパスやハイパスで物足りなくなった時には試してみたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?