「比べる」は「近づく」!MetricABで「理想のあの曲」に近づく方法
DTMerの皆さんは、楽曲制作においてリファレンス曲を活用しているだろうか?
リファレンス曲を活用すれば、比較対象ができて自分の曲との差を客観的に聴けるので、今の曲に何が足りないのかを知ることができる。ただ、比較するのにいちいちトラックを切り替えるのは面倒だし、マスターエフェクトの影響を受けてしまうなど、いくつか問題もあるのが難点だ。
そこで活躍するのがADPTR AUDIOのプラグイン「MetricAB」(メトリックエービー)。
今回はSLEEP FREAKS様の「ミキシング・マスタリングで大活躍!ADPTR AUDIO MetricAB 使い方① 基本概要編」を元に、MetricABの導入メリットについてご紹介していきたい。
従来の方法のデメリット
DAWのオーディオトラックにリファレンス曲を配置して聴き比べるのはもちろん良いのだが、切り替えそのものが面倒なほか、主に次のデメリットがある。
MetricABは、上記のような問題を解決してくれるプラグインだ。マスターエフェクトの影響を受けないので、オリジナル曲の2mixとリファレンス曲をワンタッチで切り替えることができるだけでなく、周波数・左右の広がり・位相・ラウドネスなどの情報も比較できるので、細かくモニタリングしながら、客観的な分析が可能なのである。
基本的な使い方
①MetricABのインサート
まず、MetricABをマスタートラックの最下段にインサートする。なぜ最下段なのかというと、MetricABより下の段にプラグインがあるとそのプラグインの影響を受けてしまうためだ。
②リファレンス音源の読み込み
MetricABでは最大16曲のリファレンス音源を登録できる。登録の仕方は2通りあり、以下の画面のように「Load Audio File…」からファイルを参照して指定する方法と、ファイルをスロットに直接ドラッグ&ドロップする方法がある。
③A|B比較
リファレンス音源を読み込んだら、左下の「A|B」ボタンをクリックするとオリジナルとリファレンスを聴き比べることが可能。Aがオリジナルで、Bが選択中のリファレンスだ。色が変わるので視覚的にもわかりやすい。
また「Playback」モードにしておけば、リファレンス音源内のどの場所を再生しているのかがわかる仕組みになっている。波形上をクリックすれば、再生位置を移動することも可能だ。
④その他の解析モード
Playbackのほかにも、以下のように様々なモードがあるので、必要に応じて切り替えるとよいだろう。
便利な機能
表示モードの切り替え
MetricABには複数の表示モードが用意されており、それらを切り替えることでオリジナル曲との比較をさらに便利におこなえるようになる。
左下のDISPLAYを「Dual」にしておくと、オリジナルとリファレンスを同時に表示させることができる。
また、「Layer」にすれば両者を重ねて表示することも可能だ。
プリセットの保存
読み込んだリファレンス音源を別の楽曲でも使用したい場合は、プリセットとしてリストを保存することができる。左上の「Default」をクリックして「Save Preset As…」で保存しよう。次回からは「Open」からプリセットを読み込むだけで、登録したリファレンスが一発で表示される。
プリセットは「Hip Hop」「Pops」「EDM」などのジャンルや、「作曲」「アレンジ」「ミックス・マスタリング」などプロセスで分けておくと後々使いやすいかもしれない。
アーカイブの作成
上記のプリセットの保存とも関連するが、プリセットとリファレンス音源を抱き合わせ、一括して保存しておくこともできる。それがアーカイブ機能だ。
やり方はプリセット同様Defaultメニューにいき、「Create Archive…」をクリック。こうすることで、プリセットと音源をまとめてフォルダごと作成することもできる。好みに応じてプリセットのみとアーカイブを使い分けるとよいだろう。
まとめ
いかがだっただろうか?
リファレンス曲と比較することによって、オリジナル曲のアラが浮き彫りとなり、その差を埋めることでオリジナル曲のクオリティを何倍にも高めることができる。「比べるは近づく」、である。リファレンス曲をもっと便利に活用したい方はMetricABを試して見て欲しい。
試した後は「もっと早く導入していれば!」となること間違いなしである。ただCPU負荷が高いのか、PCによってはすぐ止まってしまうので注意。。
では、よいDTMライフを!