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凪いだ桜まじ、ぼくの英雄
突然どこかに行ってしまいそうだとか、去り際が突然だとかそんな類いのことをよく言われます。
その反面、ぼくは人に依存します。これを言っても、あまり信用して頂けませんが、ぼくは本当に依存体質です。
幼い頃、教養はないし、浅はかで、大した特技も個性も持っていないぼくは誰にも必要とされていないような気がしていました。そんなぼくはあるとき知ってしまうんです。誰かの素敵な物語の登場人物になればスポットライトが当たったような気がすると。こんなぼくでもいつかその物語のスピンオフの主人公ぐらいには選ばれるような気がしていました。
それからというもの暇つぶしのように、ただ誰かの物語の中で、ずっとずっとそのとき待っていました。
そうしてぼくは人に依存していったのです。
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」
これは人に依存しがちなぼくにぶっ刺さった夏目漱石の「草枕」の有名な書き出しです。
依存から抜け出す方法、それは情と意地を捨てることでした。
突然どこかに行ってしまいそうだとか、去り際が突然だとかそんな類いのことをよく言われます。
その反面、ぼくは人に依存します。
情と意地を捨てられるようになりました。それでもぼくは一時でもスポットライトを当ててくれたあなたには薄情になりきれないので、今でも最後に必ず棹さして、意地を通します。そして静かに離れます。これももしかしたら依存なのかもしれません。
でも、最後だなんて言いません。
だから、それに気づいてくれた人はいません。
ありがとう。桜まじ凪いだぼくの英雄。
よろしくネ。白い手のイゾルデ。
今週も読んでくれてありがとうございます。
春はやっぱり分岐点ですね。