5億の鈴と君
みなさま、お久しぶりでございます。
転職というドタバタにかこつけて、随分サボってしまっていたことをお許しください。
そんなんです。ぼくは来月を持って、約5年お世話になった会社を退職する運びとなりました。ご存知の方も多いかと思いますが、ぼくは極端なまでに仕事とプライベートをセパレートする人間です。仕事に私情は持ち込みませんし、逆も然り、プライベートで社内の仲間と過ごすことはありません。仕事は持ち帰らないどころか、業務用の携帯は会社に置いていってしまう始末です。
そんなぼくですが、いざ退職するとなると失恋みたいなひどい喪失感にやられてしまっております。この5年でどうやら会社を仲間を随分愛してしまっていたらしいのです。とても非情で傲慢で面倒くさく、世俗のいう道徳観の所持すら怪しいぼくにとっては驚きの感情です。
ぼくの前職は言ってはばかられるが音楽家、いわゆるロックンローラーをしておりました。当たり前ですが、ひとは孤独です。その中でもロックンロールというのはまさに青春のオーバーラン。孤独が大大、大前提、すべてとは言いませんが大体が人間関係や幼少に何かしら拗らせたひと達の集まりなのです。それ故に孤独との向き合いを忘れ、 「ぼくは特別なんだ、ぼくの代わりなんていてたまるか」と、あたかも自分が孤高の人間であるかのように、錯覚してしまいます。ぼくなんて酷いもので、周りの人間は愚か、音楽の「楽」の字を「楽しい」なんぞと勘違いをしてうるさく騒ぎ立て、それを強要するかのような同じ音楽仲間やライブハウス、フェスも苦手。表にこそ出しませんが、内心は同業者にも噛み付きたくなる程に、本当にひとそのものが苦手でした。
そんなぼくは広い広い社会に参画することによって、まず、どれだけ自分が無力であるかを思い知ることになります。最初は己の努力次第で仕事なんぞどうとでもなると思い込んでおりました。ですが現実は厳しく、ひとりぼっちの力は非常な乏しくで寂しいものです。お恥ずかしいですが、20代半ばにしてようやく周りの存在がどれだけ大切であるかを認識したのです。
そして何より、ひとが大好きであったのかを知ることができました。
孤独だから人に惹かれます。代わりだらけの孤独だからこそ、せめて大切なひとの特別であろうと努力できる気がします。相変わらずぼくは人付き合いは得意な方ではありませんが、ひとが大好きで仕方がないようです。
今とてもセンチメンタルなので、このまま書き残したいことは山程ありますが、一旦ここまでに留めておこうと思います。
この5年を支え、気づかせてくださったみなさま、ありがとうございます。そしてこれからもぼくに御付き合いくださるみなさま、愛してますからどうぞよろしく。