「SARS-CoV-2再感染者は重症化リスクが低い」 カタールのPCR検査陽性者35万人から再感染者と初回感染者の重症化リスクを比較
TONOZUKAです。
SARS-CoV-2再感染者は重症化リスクが低い
カタールのPCR検査陽性者35万人から再感染者と初回感染者の重症化リスクを比較
以下引用
カタールWeill Cornell Medicine-QatarのLaith J. Abu-Raddad氏らは、パンデミック当初から同国民の感染状況を記録しているデータベースを利用して、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に再感染した患者が重症化するリスクを調べ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院、ICU入院、死亡のリスクは、初回感染者に比べ再感染者では非常に低かったと報告した。結果は2021年11月24日のNEJM電子版にCORRESPONDENCEとして掲載された。
カタールでは、2020年3月から6月にCOVID-19の第1波を経験した。その後に行われた検査では、人口の約40%からSARS-CoV-2に対する抗体が検出されている。さらに2021年1月から5月の間に、アルファ株(B.1.1.7)による第2波と主にベータ株(B.1.351)による第3波が起こっている。そこで著者らは、初回感染を経験した患者が再感染した場合の重症化リスクを検討することにした。
分析には、カタール国民のSARS-CoV-2関連情報を登録しているデータベースを用いて、2020年2月28日から2021年4月28日までにPCR検査で陽性になった35万3326人の感染状況を調べた。始めてPCR検査が陽性になった患者を初回感染者とし、初回感染から90日以上経過した後に採取された標本が、再びPCR陽性になった場合を再感染者とした。その上で、再感染者のCOVID-19による入院(重症COVID-19)、ICU入院(重篤なCOVID-19)、COVID-19による死亡のリスクを初回感染者と比較することにした。なお、ワクチンの接種を受けていた8万7547人は分析から除外している。
再感染者1人当たり5人の割合で、性別、年齢、国籍、PCR検査を受けた週がマッチする初回感染者を選び出した。重症のCOVID-19、重篤なCOVID-19、COVID-19による死亡はWHOのガイドラインに基づいて判定した。
再感染者1304人のうち、413人(31.7%)はベータ株、57人(4.4%)はアルファ株、213人(16.3%)はパンデミック開始時点から存在している野生株に感染していた。残り621人(47.6%)は、変異株を判定できる遺伝子検査が行われていなかった。初回感染から再感染までの期間の中央値は、277日(四分位範囲179~315日)だった。
再感染した1304人のうち、重症化した患者は4人で、ICU入院患者や死亡例は報告されなかった。対照群の初回感染者6288人では、重症化した患者は158人、重篤化した患者は28人、死亡した患者は7人いた。
初回感染者と比較した再感染者の入院のオッズ比は0.12(95%信頼区間0.03-0.31)で、ICU入院のオッズ比は0.00(0.00-0.64)、COVID-19死亡のオッズ比は0.00(0.00-2.57)だった。入院、ICU入院、死亡を併せたオッズ比は0.10(0.03-0.25)だった。
著者らは初期の研究で、初回感染による再感染予防効果は85%以上と報告していた。今回の結果に基づいて推定すると、再感染して重症化するリスクは、初回感染者が重症化するリスクの100分の1程度と推定された。ただし、初回感染から日数が経つにつれて、そうした保護的な作用は弱まる可能性があると述べている。
原題は「Severity of SARS-CoV-2 Reinfections as Compared with Primary Infections」、概要はNEJM誌のウェブサイトで閲覧できる。
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