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スペイン旅行記【3日目】

そんなわけで久しぶりの海外旅行の記録のための回顧録、
行程3日目、滞在2日目の記録になります。

【3日目(7/19)】

●時差ボケのせいなのか途中1回起きたせい陽射しのダメージなのか、タップリと寝て7:30起床。10時間以上泥のように寝た。ホテルの朝食は7:00~ですが、8:00に朝食会場到着。ゆったり目のペース。
●朝食会場は自然光の入る庭園みたいなオシャレ空間。15年前は延々と続くチョリソとハムとチーズと硬いパンの朝食に5日目くらいで力尽きた私ですが、今回ちゃんとしたホテルだったので朝食がおいしい。ラインナップ的にはほとんど同じではあるんだけど。
●たっぷり朝食を頂いて部屋に退避。なおこの旅程で私2kg増量したんですが、原因はどう考えても朝食。毎朝ケーキ食べてた。ビュッフェを楽しみすぎ。

毎朝ビュッフェ

●食後に休憩スペースみたいなところを覗いたら、なんか土器とか並んでてお高そう。ソファーでとりあえず偉そうに座ってみるなど。
●9:45ごろホテルを出発。本日のメインはソフィア王妃芸術センター。かねてより熱望していた「ゲルニカ」を収蔵するマドリッド屈指の人気観光施設の一つ。芸術には全く明るくない(むしろコンプレックスすらある)私ですが、みたいものはみたいのです。世界の芸術を目の当たりにしても「すごーい」「うまーい」「きれーい」くらいしか感想もボキャブラリーもない私ですが、背景が見えなくとも感情を喚起できるのが芸術なのではないでしょうか(開き直り)。
●「ゲルニカ」と「サグラダファミリア」が見たいのは、そんな芸術に全く明るくない私にでも、そこに注いだエネルギー(あるいは感情)がわかるから。そしてどちらもどれだけの力が込められたのか”見ればわかる”。だから、見たかった。

≪ソフィア王妃芸術センター≫

ソフィア王妃芸術センター

●マドリッドの芸術を見て回るにはほんのりお得かもしれない方法が2つあり、一つは「マドリッドカード」、もう一つは「パセオ・デル・アルテカード」の購入。前者はカードを持ってると一定期間マドリッド市内の芸術文化施設がフリーパス、後者はマドリッドの3大美術館(ソフィア、プラド、ティッセン)が1回ずつちょっとお得に見られる。大して芸術に明るくない我々は、後者を事前に怪しげなサイトでネット購入。20%くらいお得らしい。が、本当に使えるのだろうか。
●10:00の会館直前にズラッと列ができるソフィア王妃芸術センター。すでにチケットありの入館列と、当日券を待つチケット列の2列構成。我々はとりあえず入館列に並んでみる。相変わらずスペインクオリティ、列の進みはよろしくない。
●事前に(会社で)プリントアウトした「パセオ・デル・アルテカード」の購入バーコードを係員に提示すると、チケットコーナーに通される。何か不味ったかと思ったけど、チケットコーナーで用紙にスタンプが押され、引き換えに入場券をもらった。これ、スマホ画面で提示してたらどうなったんだろう。
●ソフィア王妃芸術センターはたしか4階建て。メインは2階らしく、ガラス張りのエレベーターに乗ってフロアを上がる。暑い。真っ先に今回の個人的な旅の目的に直行。案内をみると、「Guernika」と書かれた展示スペースがあってすぐに分かったけれど、その他の絵はどこに何があるかまるで謎だった。
●館内は実は大体のものが撮影OK。気前がいい。しかし、ゲルニカのあるスペースに関しては、権利的な問題か動線的な問題か、撮影禁止になっていた。これに関しては致し方ない。
●生で見たゲルニカの感想は上記3つの「すごーい」でした。見に行って本当に良かった。ちなみに写真はお土産屋にあったゲルニカランチョンマットです。


ゲルニカ…のランチョンマット

●ソフィア王妃芸術センターにはもう一つ目当ての作品がありまして。それはジョアン・ミロ作「パイプをくわえた男」。15年前バルセロナのミロ美術館に(なぜか)いったときも思いましたが、ミロの作品群は私のような芸術ど素人の理解を超越してるというか、逸脱してるというかなんというか。ピカソはまだなんか意図みたいなものがわかる気がするんだけど、ミロは大体どれがミロの作品か一目でわかる。そんなミロの絵に、ガイドブックで見つけた奥様が心奪われた。悪い意味で。
●というわけでミロ捜索開始。作者別ではなくてテーマ別で展示されているようで、部屋を片っ端から覗いてみるも、中々すぐには見つからない。奥様、写真に撮ったガイドブックのページを見せて係員に聞き込みを開始するも、具体的にどの部屋かはわからず。ただ「2階のどこか」であるとの証言を聞き出す。
●ソフィア王妃芸術センターにはWiFiもとんでるので、Google様の力で検索をしてみるも、日本語では限界があるかもしれない。概ねどのあたりの部屋にありそうかの当たりをつけて、捜査の網の目を絞り込んだら…意外とサクッと発見。ミロは著作権フリー(ではない)。


ミロ。

●そんなこんな有名展示を「すごーい」「うまーい」「きれーい」と眺めつつ、もう一回ゲルニカを目に焼き付けて2時間弱で拝観終了。昼頃には人がたくさんいたので、やはりあさイチが混まなくてよさそうです。お土産コーナーのラインナップを(円換算しながら)眺めながら通過。

≪スペイン広場≫

●この日の次の目的地は「スペイン広場」。移動には公共交通機関を使ってみることに。通常ならば「Del Arte」駅が最寄りになるけれど、先述の通り地下鉄1番線の工事に伴い、駅が閉鎖中。徒歩5分ほどのところにある「Lavapies」駅から乗ることに。ちなみにワタクシスーパー方向音痴でございますため、全ての道案内を奥様に従う。もちろん経路も奥様が調べたもの。
●「Lavapies」駅の目の前に大きめのスーパーマーケットを発見。規模感的にはいなげやとかサミットとか、そんな感じ。欧州特有の野菜も売ってる充実の品ぞろえと、ズッキーニ(ズッキーニでその店の相場を測るのが我々の習性)がkgあたり1ユーロというお手ごろな価格、スーパーでお土産を見繕おうと思っていた我々夫妻に興奮と、「登場が早すぎる」という後悔を植え付ける。ファンタとネスティ―を購入し、無事水分を確保。
●市内の移動はいずれも券売機でPASMO的な回数券を買わなきゃいけないようで、発行費用が3ユーロ・運賃が片道1.5ユーロくらい。多分。何回使うか読めなかったけど、四苦八苦しながらとりあえず片道分で購入。地下鉄で「Plaza de Espana(訳はそのままスペイン広場)」駅に向かう。
●スペイン広場駅は登るとそのままスペイン広場。夜は何か催しがあるのか、ビアガーデンっぽい準備が進んでいる。炎天下の広場の中央には像があり、観光客と思しき人々が取り囲んでいある。どうやらドン・キホーテの像らしい。ちなみに私はドン・キホーテが何なのか、激安スーパーしか知らない。


ドンドンドン



●夏の日差しの攻撃を受けながら観光客らしく振舞う我々夫妻。と、後ろから声をかけられちょっと焦る。観光客をだまして稼ぐ詐欺グループかと身構えたのだけど、振り向くとニコニコ顔のご婦人。
●どうやらドン・キホーテ像との記念撮影したいご様子のご婦人からスマホを受け取り、”3,2,1・・・パシャ”っと記念撮影。「チーズ」は通じないよね。ちなみに奥様はご婦人から荷物を預けられました。が、のちのち知ったことですが、このスペイン広場、観光客を狙ったスリが多発するエリアなんだとか。ご婦人、無警戒すぎる。

≪王宮≫

●スペイン広場から次なる目的地は徒歩で移動。でも時間的にちょうどいいので、お昼ご飯の捜索もあわせて行う。途上、右手側に見晴らしのいい緑の豊富な公園と、とても壮大で豪奢な外壁を発見。「なにこれすごーい」と、得意のボキャブラリーを発揮する我々、無邪気に「サバティーニ庭園だってー」と眺め続ける。が、その外壁こそまさに我々の目的地、王宮でした。


「なにあれすごーい」とは私の言


ラボラ。ご縁がなかった。



●王宮を眺めながら向かうのはスペイン料理の頂ける「ラボラ」というレストラン。るるぶに載ってた。赤い外壁が特徴的なお店のドアを勢いよく開ける。と、店員の皆さんが絶賛談笑して食事中。「One Thirty !」…どうやらランチは、13:30開店のご様子。さすがシエスタの国。
●時刻は12:30。自国基準の食習慣の結果ランチ難民となった我々は、踵を返して王宮に向かう。と、炎天下の豪奢な王宮の前には長蛇の列。なんでも、王宮はマドリッド屈指の人気観光スポットで、一番混むらしい。そして、安定のスペインクオリティにより列がなかなか進まない。我々に試練の時が訪れた。
●少しでも陽射しを避け、向かいの大聖堂から伸びる日陰で列に並ぶ。ジリジリと体力と水分を失う我々観光客を襲うのは自然の猛威だけではなく、「ワンダラ(おそらく1ドルって言ってる)ワンダラワンダラ!」と叫びながら水を売るワンダラおじさん、その他コンビニ袋に水を詰めて売り歩く行商、謎のゴリラの着ぐるみ、帽子を売る人、コップにそこそこ入ったユーロをジャラジャラさせながらただ物乞いする人。結構儲けてるし。うっとうしいというより、悪人たちに囲まれてカモにされるこの状況が苦痛だった。
●様々な悪人の悪意に晒されること1時間、ようやく王宮の入口へ。どうやら手荷物検査をおこなっていたようで、それで時間がかかっていたらしい。もうちょっと動線考えようか。


マドリッド王宮



●王宮は大人気の観光スポットだけあって、如何にも「外国来たぞ!」感があってとてもいい感じ。水分不足にややクラクラしながら、得意の「すごーい、きれーい」が発動する。奥様は「二条城」って例えてた。
●王宮は写真撮影禁止と聞いていましたが、実際には撮影フリーのエリアと禁止のエリアに分かれていて、禁止エリアには「カメラ×」マークが掲示されている。わかりやすい。フリーエリアもとても厳かでいい感じですが、禁止エリアは何故禁止なのかなんとなく理解できるぐらいに一層豪奢で、煌びやか。王冠やら杖やら食器やら、どう見てもお高そう(俗人)な品々もたくさん展示されていて、それはまぁねぇ。禁止ですよねぇ、防犯的に。
●やたら広い館内禁止エリアを一周すると、もとの撮影フリーエリアに帰ってくる順路。フリーエリアに程よく疲れたところにちょうどよく座りたくなるくらいの段差があって、観光客の皆様、次々と腰を下ろす。と、都度係員が注意を飛ばす。史跡であり、文化財なので。保全保全。
●1時間の王宮待機であっという間にファンタを飲み切ったワタクシ、王宮出口に水の自販機を見つけて、即、購入(2ユーロ)。ワンダラおじさんから買うより高いのかもしれないけれど、正規品なので背徳感がないのが良い。
●王宮を出るとそこは大きな広場になっているin炎天下。自身がいる方を振り向けば王宮、正面には大聖堂。広場の真ん中に行けばそこは両方を撮影できるスポットになるので、照りつける日差しの中に果敢に集まる観光客。我々も例外ではない。
●持参したミニ3脚で写真とれないかなーと画策していると、モロに観光客感丸出しなのが無害だと思われたのか、我々の元に次々撮影依頼が舞い込む。おそらくユーロ圏若者と思われるグループと、アジア(おそらく中国)系の親子と。いいんだけど、暑いっす。代わりに我々も撮っていただけることとなりましたが、一応警戒して、奥様が古いiPhone(セブン)を渡し、それで撮っていただきました。ちゃんと手元に帰ってきた。


何かしらの聖堂

≪昼食・休憩≫

●遡ること2時間前、昼食チャレンジに失敗して難民と化した我々夫妻、昼食捜索に再トライ。向かったのは同じくるるぶに載っていたアンダルシア料理の頂けるお店「カサ・シリアコ」。いかついおじさんの人形が目印。


おじさん。たぶん料理上手。



●レストランメニューとバルメニューがあり、スペースも分かれているようだったが、どこから入るか謎だったのでとりあえず開きそうな扉を開けて入店。中途半端なスペイン語は100%意志疎通できない自信があるので、「2パーソンズ!」と開き直ったカタカナ英語。怪訝そうな顔をした店員に案内されキッチン前を通過し、レストランスペースに通される。如何にも飲まなそうだったからなのかなんなのか、結局こういう店で我々バルスペースに案内されることがなかった。
●テーブルには予めパンが設置してある。準備っていうか設置。ちゃんと会計にも含まれます。スペイン語のメニューを眺めながらさて何を頼むべきかさっぱりわからなかったけれど、奥様がわかる単語と直感を働かせ「アーティチョーク」の何かと「アンダルシア風」の何かを発注。で、出てきたのがこちら。


アンダルシア風ホルモン煮込み
アーティチョークの生ハム乗せ

●アーティチョークってキャベツの小さいのだと思っていたけど、ちょっと違う。しいて似てるものを挙げればフキなんでしょうか、野菜の甘みと仄かな苦味、ニンニクとアンチョビの風味が折り合って、大変美味しくいただきました。
●もう一つアンダルシア風のものは、豚ホルモンの煮込み料理。るるぶにも掲載されていたので、どうやら名物料理のようだ。ハチノスやコブクロやミノやらのホルモンが柔らかに煮込まれていて、なるほど名物料理と納得の味わい。こちらも大変美味しくいただく。結果的に、スペイン1回目の外食チャレンジ、成功。なお会計は×印のジェスチャー+「チェックプリーズ」で押し通しましたが、この昭和スタイルがどのお店でも通用しました。
●お店を出て、今度は近くの教会へ。王宮の向かいにあったところではないところでしたが、つくりはとても立派。日差しを避けられ、(もちろん休憩のためではないのだけれど)腰を落ち着けることができるのがありがたい。そして拝観無料。すてき。


何かしらの教会



●照り付ける日差しにいい加減一日の活動限界を感じ始めた我々、いったんホテルへ避難することに。なお途中まで電車できたものの現在地から程よい交通手段がないため、前日同様マヨール広場→ソル駅のルートを徒歩でたどることに。ただ2日連続で同じ道のりを進んだため、ちょっと手馴れてきた。奥様が。
●ソル駅を通るということは、再びアイス屋の前を通るということ。そしてこの暑さと、失われた水分。まぁ、頼んじゃいますよね。気さくなおじさんはいないけど、頼み方は前日覚えた。私は「Naranja(オレンジ)」奥様は「Tutty Flutty」。…「トゥッティー フルッティー」。…え?何味?


パラッツォ、再び

≪ティッセン・ボルネミッサ美術館≫

●16:30くらいにホテルに戻り、しばしクールダウン。わずかな休憩時間でも楽な格好をしていたくて、部屋着に着替える我々。3日目の予定を確認し、休憩ののち予定通り、マドリッド3大美術館の一つ・ティッセン・ボルネミッサ美術館に向かうことに。なお、ホテルから徒歩3分。激近。


ティッセン・ボルネミッサ美術館。名前が覚えられない。

●17:30美術館到着。荷物チェックで「水もってる場合はロッカーに預けろ」的なことを指示された気がするけど、カバンの中に入れてなかったことにする。
●「パセオ・デル・アルテカード」を係員に提示すると、何やら疑問を呈される。奥様のスマホでGoogle翻訳を駆使頂き、係員にスマホに話しかけてもらうと、どうやら「閉館19:00だけどいいのか?」と聞かれたようでした。望むところだったわけですが、後でこの係員がとても親切だったことを理解する。なお、「パセオ・デル・アルテカード」の効力はここではそのまま発揮されて、提示したバーコード読み込んで通された。美術館ごとに扱いがやや異なるようです。
●ピカソやセザンヌやらゴヤやらゴーギャンやらの有名作家(われらのミロ含む)の作品から、現代美術に至るまで幅広く展示しているティッセン・ボルネミッサ美術館。改めて係員の新設を実感する。そう、ここは、広い。とてもではないけれど全館見渡せないと判断した我々、次第に「るるぶに紹介されてた絵を探す」という目的にシフト。それでいいのかと問われるとちょっと口ごもる。館内を大急ぎで駆けずり回り、残り開館時間20分のところでるるぶ作品コンプリート。達成感とともに踵を返す。
●帰り際のルートに特別展示のスペースがありましたが、その絵が凄かった。すごい。すごい闇が…病みが深い。


アンドレ・バッツァー作品群のインパクト

●夕食はティッセン&ホテルのすぐ近く、下調べで私が行ってみたいと思っていたマドリッド内の一大チェーン店「100 Montaditos」へ。100のモンタディート(小さめのバケットサンド)を謳う通り、メニューが豊富すぎて、読めない、わからない。思案した結果、メニュー表に写真のあった3.5ユーロのセットメニューを2つ注文してみることに。で、きたのがこれ。

左:おそらく生ハム 右:クラシック(チキンとトマト)

●ここまで直面してきた物価を考えるととてもリーズナブルかつしっかりとしたボリューム。さすがファストフード。さすがチェーン店。欧州特有のこのしっかりとしたバケット地のパンも美味しくいただきました。ちなみにサングリアを飲もうと頑張った奥様は、「ロゼ」って書いてあるお酒を頼むも、なんか違うのが出てくる。なお、ソフトドリンクよりもお酒のほうが安い。
●そんなこんな無事事前に立てた予定もほぼこなし、3日目の行程を終了。やりきりました。この日が全旅程で1番歩いたため、私は部屋のソファーで寝落ちるなど。30半ばも過ぎた人類の体力の低下を思い知る。寝かせてあげてください。

➡4日目に続く


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