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わたしの海外旅行記 ベトナム編7

時刻は9時。
この時間が通勤ラッシュなのかは分からないが、通りを走る車と言うかバイクの数がすごい。
恋人同士のように二人乗りをする男女や、子供を乗せた三人乗りから四人乗りまで。
終いには一台の車よりも荷物を積んでいるんじゃないかという様な、それはまるでサーカスを見ているような。

ベトナムの人たちはバイタリティーがすごい。
私はそんな光景をスマホで撮影をしていると、バイタクの運転手が『No outside』と言ってくる。
ベトナムでは貧富の差が激しくスマホやカメラは高級品のため、ひったくられてしまうらしい。
私はそれを聞いてスマホを自分側に寄せて撮影を続けた。
外国では常にカルチャーショックなのだ。


走ること30分。
通行量が多い通りからさらに多くなってきたところでバイクは止まった。
目的地のファングーラオに到着した。
私は運転手に250円を払いお礼を言うとバイクはその場を立ち去った。
立ち去るバイクの後ろ姿を見ながら、自分が被っているヘルメットを返すのを忘れたことに気づいたがバイタクの彼の背中はもう遠くなっていた。



ファングーラオはタイのカオサンの様な所謂バックパッカーの聖地なのだ。
飲食店やバイタクの客引きなどが多く、歩いているとどこからともなく声が掛かる。
私は返しそびれたヘルメットを持っていたためか、バイタクの運転手からのお誘いが頻繁にありその度に説明をする。

『バイクに乗らないか?』
『バイクには乗らないよ』
『じゃあ、なぜヘルメットを持っているのだ』
『これはさっき乗っていたバイタクの運転手に返すのを忘れたんだ』
『なるほど、そういうことか』


『バイクに乗らないか?』
以下同文。


バイクタクシーの客引きだけではなく、お土産屋さんやマッサージ店に飲食店など、そして私が履いていたスニーカーのほんの些細なほつれを遠くから見つけてはそれを直してあげると、歩いているだけでたくさんの人が声を掛けてくる。


時刻は10時を回ったところで、暑さとバックパックの重さで少し疲れたため飲食店に入ることにした。



Xin chào(シンチャオ)と声を掛けビールを頼む。
シンチャオとはベトナムのあいさつで、朝昼晩これでいけるので便利だ。
慣れない土地で、少しの興奮と暑さで火照った体をビールでクールダウン。
今日泊まる宿をまだ予約していなかったのでその辺を歩いて探すことにした。
ベトナム語の『ありがとう』の発音が難しく感じたのでサンキューと言って店を出た。


ダダダダダと工事の騒音や行き交うバックパッカーに相変わらずの客引き。
あるバイクタクシーの運転手が私に声を掛けてくる。
『バイクに乗らないか』
私は少し素気なく『No thank you』と。
立ち去る私に彼はこう言った。



『Happa』

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