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常識を覆す丸野一樹のXターン

 これが偶然ではなかったら脳ミソが全く追い付いていなかった。右にあったものが、瞬きひとつで左に瞬間移動したかのような錯覚。まるで手品でも見せられている違和感があった。
 琵琶湖のお盆開催、5日目準優11Rでことは起こっている。1号艇で乗艇した丸野一樹。1マークは先マイしたものの、3コースの吉川喜継にまくり差され、バックでは2艇が併走状態になった。内に吉川、外に丸野で2マークに突入。
 衝撃のシーンはここから始まる。外にいる丸野は、外を握ってまくるか、引いて差し返しを狙うかの2択しか普通はない。内にいた吉川も、丸野がどちらを選択してくるかうかがったはず。
 丸野の選択は握りマイ。少なくても初動では明らかにそう見えた。この動きを確認した吉川は、当然まくりのラインを消すすために丸野に合わせて外を張り気味の全速先マイを試みる。合わされた丸野はおそらくこれで万事休すに見えた。

 しかし、その刹那。丸野は吉川の内懐を全速差しで駆け抜けてきたのである。一瞬、何が起こったのか分からなかった。あり得ない挙動、常識では想定できない航跡を描いて丸野は逆転に成功している。リアルタイムで見ていたが、どんなハンドルを入れたのかも分からない。唯一覚えていたのは、強まくりの初動だったはずということ…。
 その後、何度もリプレイを見て分かったこと。それは偶然でも何でもなく、丸野は最初からこれを狙っていたということだ。しかし、それは常識から考えると説明するのが難しい。それくらい想定の外にいるターンでもある。

 さて、あくまで個人的な見解だが、このターンの解説してみたい。まず、2マークの入り口。明らかにここでは外を握る姿勢、そして初動が見て取れる。その挙動を吉川は目で確認しているのがVTRからも分かる。

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