fishbowl 「深海」 歌詞考察
先日fishbowlの1st oneman live 「オランダシシガシラ」のDVD/Blu-rayが発売され、このライブで「深海」を披露する際新間いずみちゃんによる歌詞に関連した朗読が行われた。
今回はその朗読文を含め改めて歌詞について考察したい。
結論から書くとこの曲からはfishbowlがアイドルひしめくこの業界で上を目指していくためには確かな実力と熱意が必要であるという激励、またfishbowlの今後のグループとしての方向性を読み取ることができると感じた。
以前ヤマモトショウPの記事にあったようにそもそも曲の歌詞一つ一つに意味を定義しようとしても仕方ないがせっかくなのでそれぞれに対する自分の解釈を書いていきたい。
歌詞内の「僕」はfishbowl、「深海」はfishbowlの現在(結成当時)のアイドル界での立ち位置、「深海」に対して地上はテレビに出ているようなトップアイドルがいる場所、そして「光」とは世間からの注目を指している。
(ここも聞く人の環境によっては「僕」は自分のことを指しているし、「深海」はその人が置かれている環境になりうる。)
下記動画10:25~ 「fishbowlもアイドルとしては一番底」
「深海と一緒に頑張ってもらおうかな」
フレーズ考察
深いため息が
そっと泡になる、恋が足りない
違う仕方で
そっと呼吸して、
好きになれる
深海で吐いた深いため息が泡になり地上に昇っていく
深いため息とはその人の悩み、伝えたいこと?
その思いが泡として消えてしまうのではなく直接地上へ届けたい
現時点では恋(上を目指す気持ち)が足りていない=最初からそこまで行けると思っていない、途方もない目標
深くため息するのではなくそっと呼吸することで上を目指す気持ちは増す
大きすぎる考えを持つだけでは上を目指そうにも昇ることができない
目の前の目標をコツコツこなすことで地上へ近づいていく
深いため息→壮大な考え、野望
そっと呼吸→目の前の目標
僕の浮力は
今押しのけた
何かの分 大きく
でも感情は
そう簡単には
浮かんではこないの
浮力は物体が押しのけた液体の重さに比例して大きくなる
fishbowlというグループに対してスタッフ、家族など縁の下で支えてくれる人が多くいる。そのような関わる人が多くなるにつれグループとして上へ昇っていく態勢は整っていく
しかし本人たちはアイドル活動を始めたばかり、目の前のことに精一杯すぎて最初から上へ行きたいという気持ちを持つのは難しい
もしもこの街が水の中なら
僕が生きてる現在地をそう
深海というのだろう
だって、君は見えない
アイドルとして始まったばかりのfishbowlはアイドル界において一番底にいる ここでの「君」はファン? まだ応援してくれる人も少ない
明日ただ一瞬だけこの恋に
強い光があたることよりも
僕は誰もまだ見ていなくても
自分のために輝くから
深い夜の底で
実力関係なく何かのきっかけ(曲のキャッチーさなど)だけで注目される=バズるより誰も見ていなくても自分たちの方向性を見つけ実力をつけていくことのほうが大事。
話題性だけですぐに売れることが全てではない
君の魅力は
今通り抜けた
何かの分、増えて
でも関係は
そう簡単には
変わってはいかない
ここでの「君」はfishbowlのことを指している?
これからいろんなことを経験する中でグループ、個人の魅力は増えていく
関係→fishbowlのメンバー間での関係?、fishbowlとそれを見ている人の関係?
それぞれ個々の魅力が高まったとしても最初からの関係は簡単に変わるものではない
もしもこの後が決まってるなら
ずっと生きてた現在地をそう
正解というのかな
だってそれが正しい
ラプラスの悪魔的思想、過去の出来事によって未来が決定している
今行っていることが将来につながるため今できる最大限の努力をするべき
深いその意味が
ふっと泡になる、何が足りない?
白い波形まで
届かないように生きていける
深いその意味=深いため息?
現在地と地上までにかなりの距離があるため泡になってしまっている
これが泡にならないためには何が必要?
波が白くなるのも泡が原因
泡にならないまま地上へ届けたいもの=深いその意味
→自分の気持ち、アイドルとして伝えたいこと、アイドルになった意味
アイデンティティ
明日ただ一瞬だけその声に
違う速度加わることよりも
僕は誰も追いついてなくても
自分のために泳ぐよ
グループとして上を目指していく中でメンバー間にも揺らぎが出ることはある
違う速度→そこまで頑張らなくてもいいんじゃないかという意見
周りにそんな人がいたとしても自分は進みたい方向へ進み続けるべき
明日ただ一回だけこの恋の
ずっと未来がわかることよりも
僕は昨日君がいったことを
自分の中に綺麗に
自分たちのグループの未来がすぐわかってしまっても面白くない
もしくは世間のスポットライトにがあたり一時的に人気が出ることによって、実力が伴っていないのでその先は沈んでいくという未来が確定する
それより近くの人の意見をしっかり咀嚼し自分の糧にすることのほうが大事
ここでの「君」はファン?メンバー?グループを支えてくれる人?
新間いずみちゃん朗読部分
物語はいつも深い深い深い海の底から始まる
遠い昔誰かがたどり着いた場所は気が付いた時には息を吐くことも息を吸い込むことも難しい世界
遠い遠い遠い光を見あげて深いため息はそっと泡になる
泳ぐことに飽きたの、そういった人はその代わりに立ち上がったわけでもなく立ち止まっただけで
そんなものはないよ、そういった人にもしもこの後が決まっているなら
ずっと生きてた現在地を正解というのでしょうか
そういってまた泳ぎだす
明日ただ一瞬だけこの恋に強い光が当たることよりも僕は誰もまだ見ていなくても自分のために輝くから
物語はいつも深い深い深い夜の底で
トップアイドルも深海から始まり地上へたどり着いた
しかしそこは一挙手一投足に注目される、うかつなことができない環境
実力もないまま投げ出されるとすぐに深海へ沈んでしまう
一方深海にいるアイドルたちも地上の光を見上げるが自分たちの伝えたい気持ちは地上に届くことなく泡になって消えてしまう
言い訳をして自分を磨くことをやめたアイドルはその地点にとどまり続けるだけ、未来は現在、過去行ってきたことが決定させると考えた時今のままで問題ないと思うのか
今できることは海の底から地上を目指して実力をつけていくだけ
まとめ
水泡に帰す、泡沫という言葉がある通り泡という言葉には「儚く消えやすいもの」、「努力の意味もなく効果がない」という印象がある。
fishbowlに対してそのような泡となってしまうのではなく自分たち自身、自分たちの伝えたいことをしっかり世間へ伝えてほしいという激励の気持ちが読み取れる。
まただからと言って実力をつけないままある側面だけを切り取られ急に注目されると消費社会の食い物にされる。
すぐに世間の目は次のものへと移ってしまうため、地上で輝き続けるためには個人、グループとしての意思、実力をつける必要がある。
この部分にfishbowlというグループの方向性が表れていると感じた。
アイドル戦国時代も終わったといわれるこの時代に実際アイドルグループはそこかしこに溢れている。
そんな中で売れるには奇抜さであったり、何か他とは異なる独自性が必要でありそのような話題性でアピールするグループも中には多く存在している。
しかしそのような方法で人気が出たとしても実力がなければそれは一時的なものであり結局はすぐに飽きられ世間からは忘れられてしまう。
fishbowl自身も数々のアイドルソングで実績を残しているヤマモトショウさんがプロデュースするというその話題で注目されている側面はあった。
そのような状況でこの歌詞からは単なる話題性だけではなくまず実力をつけ、上昇志向を持つことが大事という一周回って基本に戻るアイドルグループとしての方向性を読み取られた。
確かに現時点での活動を見てもすぐに売れることを第一とするのではなく地盤を固め着実に実力をつけていく姿勢が見て取れる。
※人を集めるために東京ばかりでライブをするのではなく地元静岡で定期ライブを開催したり、マグロまつりなど地元静岡に根差したイベントに多く参加しているなど。
今後もこのような方向性を維持しながら着実に力をつけ、地上に飛び出すだけでなく富士山の高みに並ぶことを楽しみにしている。
地下アイドルという言葉がありますが、fishbowlは深海アイドルです。ここから日本一の高さである富士山を目指すわけです。
https://yamamotosho.com/n/ne0c51b42c775