キネマズ / KINEMAS "Me."
2021/08/23、KINEMASは「Me.」という楽曲をリリースしました。
キネマズ / KINEMAS "Me." (Official Music Video)
コロナ禍以降、ほぼ宅録でレコーディングした「Wonderland」以来、バンドレコーディングとしては「SIX AND THE CITY」以来の作品です。
5月ごろにはすでに原曲(歌詞とその流れ)は出来上がっていて、そこから少しずつバンドレコーディングにシフトしていきました。楽曲のアレンジとかを詰めていった、というよりは、この曲ができるまでに起きた様々な出来事と、それに良くも悪くも多大な影響を受けていく自分自身の生活。必要に迫られる考え方のアップデートや、繁華街に身を置く人間としての生き方等々。そういうものと、対自分という、対外的にはあまり矛先を向けてこなかったけれど、様々な情報や葛藤との答えを探すディスカッションは常に心の中にありました。
街は活気を取り戻そうと躍起になっている瞬間があり、また同時に、時に少し遅れて波のように、相反する勢力や感情がその火消しに奮闘していました。僕は、街が活気を取り戻そうとしている時の空気が好きでした。なので極力そこに寄り添うことにしました。それはとても必要なことだった、と今でも思います。
きっと、他人が外から自分を見ている以上に、自分の中の内なる葛藤、それは悲しみや怒りに似たものでしたが、煮えたぎっていました。このコロナ禍の期間、ほぼ怒りと共に生きてきたと言っても過言ではありませんでした。
ですが、誰も傷つけたくない。言葉で他者を傷つけるのは、自分の主義じゃない。なので言葉は常に選びました。あらゆる会話の中でアンテナを張っていました。言葉の上では常に中立を保つことを心がけていました。これは自分の流儀です。怒りは勿論、悲しみや喜びも等しく凪のように受け入れたい。どうも自分には、人として、そういった一つの理想の姿があるようでした。
などという、葛藤とするにはあまりにも長かった時間を経て、ていうか楽曲自体のアレンジはほぼメンバーに任せ、この曲に落とし込んだ自分の気持ちについて、とことん向き合いました。歌詞は、自分が生きてきた中で、今最も自分に近い言葉になりました。自分はこの曲になるために、この曲は自分になるために。文字通り、命をかけて過ごしてきた時間をぶつけました。
そうして、シオヤレイジの撮影・編集の元、「Me.」のMVが完成しました。
このMVの中に出てくる人達、場所。正直急激なコロナ情勢の変化で全ては回りきれませんでしたが、僕の中にはそれらのお店や人も存在しています。コロナ禍がはじまり、行きたかった海外へ行けなくなりました。そして僕は街に出て、この名古屋の街を自分の街にするんだと決めました。その為に沢山の人に出会い、考え方や生き方に触れてきました。それはとても刺激的な毎日でした。人の数だけ人生がありました。カッコいい人が沢山いました。と同時に、今の自分達であれば、もっとたくさんの事をこの街の人達と楽しめる。20代から続いた僕らの長い泥のようなバンド下積み生活は、ここで遂に日の目を見るんだと。
その期待の入り口に作ったのが「YAGURA」でした。この夏は延期になりましたが、火は消えてません。
この映像の中の街に、自分がずっと直接語りかけてきたことが、沢山詰まってます。もちろん曲にも。自分の人生にとって、とても大きな曲ができました。
色々書きましたが、たかが曲・されど曲。って感じで気楽に聞いてください。自分のメッセージが届く範囲の全ての人にとっての、特別な娯楽の一つになれたら嬉しいです。