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ゴールデンカムイ配役騒動 ~番外編~

はじめに

ゴールデンカムイの実写版キャストについて、「アイヌの役はアイヌが演じるべき。そうじゃなきゃ観ない!」というツイートが流れてきたので、それに対する個人的な意見を書いた記事です。

日本人の役を日本人が演じて大成功した例

みなさんは、実際に日本人の役を日本人が演じて大ヒットした作品があるのを知っていますか?

この作品のヒットした理由が、私の中の「日本人の役を一番上手に演じられるのは日本人だ」という裏付けとなっています。


その作品は『HEROES』と言います。
2006年のアメリカのTVドラマです。

この中に登場する「ヒロ・ナカムラ(俳優はマシ・オカ)」は、日本人俳優が演じている日本人なんです。

エピソード

『HEROES』は、ある日、突然、特殊能力に目覚めた人間たちの物語で、ヒロ・ナカムラの能力は時空間操作なんですね。

つまり、時間を止めたり、テレポートすることができるんです。

有名な台詞に「ヤッター!」というものがあるんですけど、この台詞が生まれたエピソードがすごいんです。


ヒロ・ナカムラの「ヤッター!」1発目は、ニューヨークへのテレポートが成功したとき。

この「ヤッター!」が大ブレイクして、マシ・オカは有名になりました。

でも、実はこの「ヤッター!」は最初は違う言葉だったんです。
それが何かというと…

「Bonsai(盆栽)」

です。

日本人だからこそできた演技

「えっ?」って思いますよね。

時空操作の能力に目覚め、はじめてテレポートに成功したときの喜びを表現した台詞が「Bonsai(盆栽)」です。

マシ・オカは「なんでやねん!」って思ったそうです。


で、よーく考えたらBonsai(盆栽)ではなく、Banzai(万歳)だということに気づいたとマシ・オカさんは話しています。

『HEROES』は2006年の作品なのですが、その当時の戦争映画に登場する日本人はみんな「万歳!」って言っていたので、アメリカでは日本人と聞くとバンザイというイメージがあったんだと思います。

映画に登場するキャラクターが社会に影響を与えるということは、もうこの頃から実社会に表れているんです。

私も2007年にアメリカに行ったときに「ヒロ・ナカムラの真似して」と言われましたし、典型的な日本人(オタク)のイメージがヒロ・ナカムラになっていましたと思われていました。

そして、すごいのがここからです。

マシ・オカは、今の日本人は「万歳!」を使わないし、そもそも「万歳!」は戦争をイメージさせるから良くないと思ったそうです。

そこで監督に「日本人は万歳って言わないよ」と進言し、代わりに提案した喜びの表現の中から「ヤッター!」が選ばれたそうです。

Bonsai(盆栽)→Banzai(万歳)→ヤッター!

の流れは、日本人だからこそできたことで、マシ・オカでなければ実現できなかったことだと思います。


日本で演劇を勉強すると「脚本家に失礼だから台詞を変えてはいけない」と教えられ、それを徹底するようなのですが、たとえ脚本家に失礼があってもこういった差別や偏見につながる台詞の場合は、役者のほうから変更を提案しても良いのではないかと思っています。

日本人が日本人の役を演じる最大の意義

マシ・オカのファインプレーに見られるように、日本人にしかわからないことを演技に取り入れることができるのは、日本人しかいません。

もし、BonsaiやBanzaiのままだったら、多くの日本人から批判の声があがったことでしょう。

こういった前例を踏まえて、「こういうことがあるからアイヌの役があるならアイヌ人(もしくはアイヌのことをよく知っている人)を俳優かスタッフに入れたほうが良いよ」と言うのであれば、私は賛成なんです。

でも、ツイ主のツイートを読むと、そういう話ではないように思えてくるんですよね。

みなさんは、どう思いましたか?

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こういうエピソードを知ると「日本人の役は日本人俳優が演じたほうが良い」という考えを理解することができると思います。

ただ、私は個人的には「演じたほうが良い」とは思うものの、「演じるべき」とは思いません。

そして次回は、ここまでの話がわかりにくかった読者のみなさんに、もっとわかりやすく説明します。

実はこの話題は、西洋殺陣に置き換えるとわかりやすくなるんです。

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