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スター・ウォーズと西洋剣術③

「ライトセーバーは日本の殺陣を参考に作られている」
というつぶやきをツイッターで見かけたのをきっかけに始まった『スター・ウォーズと西洋剣術』。今回はシリーズ3本目の投稿となります。

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1本目はこちらです。

2本目はこちらです。

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前回はエピソード1・2・3と西洋剣術の関係についてお話しましたが、今回はエピソード7・8・9についてお話します。


※実際の作品には、エピソード7・8・9というようなナンバリングはありませんが、この記事では時系列がわかりやすいように公開順にナンバリングさせていただきました。あくまで便宜上なものですので、あらかじめご了承ください。

エピソード7

エピソード8

エピソード9


ネット上では?

ディズニーになってからの3部作は、これまた賛否両論ありまして、何に重きを置くかで意見が変わっているようです。この記事で私は西洋剣術インストラクター兼ファイト・ディレクターとしてスター・ウォーズを見ていますが、ひょっとしたら一般的な意見と異なる意見を持っているかもしれません。でもそれは、あくまで一個人の意見ですので、この記事の読者はそれに左右されることなく、ご自身の価値観でスター・ウォーズを楽しんでいただければ幸いです。


アクションシーンが残念

私の記事は西洋剣術ネタを基準にしているので、ライトセーバーのアクションシーンに限定して、ネット上の感想を見ていくことにします。すると、そのほとんどが「がっかりした」というものでした。実際に私も映画を見た一人ですが、正直に申しまして、その気持ちはわからなくもなかったです。

私はスター・ウォーズのいちファンとして、「がっかりした」という気持ちを変えたいと思い、この記事の有料部分で出演者のトレーニング風景などを取り上げましたが、そこで見られる俳優たちのたゆまぬ努力を見ても、日本のみなさんの気持ちを変えることはできないかもしれません。

ネット上では、それほどたくさんの酷評が検索結果として表示されてしまうわけですが、この記事で「実はあのアクションシーンはすごいんだよ」「実は俳優さんたちはこんなところを見て欲しかったと思っていたんだよ」ということを書いて、スター・ウォーズの魅力を改めて感じていただこうと思います。


残念に感じる理由

理由を話す前に、エピソード7~9の公開時期を見てください。

映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(1977年公開)
映画『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980年公開)
映画『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983年公開)

映画『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999年公開)
映画『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』(2002年公開)
映画『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(2005年公開)

映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年公開)
映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年公開)
映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017年公開)


エピソード7~9は、エピソード1~3の次に公開されたわけですが、エピソード3とエピソード7の間は、10年のブランクがあります。

また、会社が変更になり、ディズニーになりました。

この会社の変更というのは、映画のテーマや方向性、見せ方や設定など、ライトセーバーに影響するところがたくさんあるので、どうなってしまうのか私は気になっていました。

そして、鑑賞後に私は、ここでもまたエピソード1~3のときと同様に、まったくの別物とまでは行かないが、少し異なったものにはなっていると思いました。

制作陣も10年のブランクをどのように埋めるのか考えなければならなかったと思いますし、会社の変更を踏まえて、会社の方針や方向性に従った作品に仕上げなければならなかったと思います。個人的な気持ちを述べると、アメリカでは、「ディズニーといえばこう」というようなブランド概念が強く根付いているので、造り手は本当に大変だったのではないでしょうか。

非常に大変な状況で創り上げたアクションシーンはみなさまの元に届いた通りのものなのですが、前作のエピソード1~3と比較してしまうと、残念な気持ちになりますよね。

誤解のないように言います。この記事はライトセーバーに限定して書いています。だから、この残念な気持ちは、ファンが求めるアクションシーンを作れなかったから生じているものと理解してください。作品全体が残念と言っているわけではないですし、ストーリー性についてもノータッチです。


さて、ネット上で散々に言われているところがあるエピソード7~9ですが、西洋剣術の専門家としてライトセーバーの動きを分析し、ファイト・ディレクターの視点で見たらどうなるでしょうか?

結論から言いますと、制作陣のこだわりや演出意図がわかると残念だなんて思えなくなる作品となりました。

ここからは、私が感じたエピソード7~9のこだわりを解説していきたいと思います。この記事を読んで、スター・ウォーズが本当に素晴らしい作品であるということを知っていただければ幸いです。


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