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英国「ゼルダの伝説」マスターソード所持で実刑②

また刀剣関連のニュースです。
今度は殺傷事件ではなく所持による逮捕なので、そこまで大きく取り上げられてはいなかったのですが、私の視点から解説したいと思います。


このnoteの要点

  • すぐに鞘から抜ける状態で警察官に近づいたから逮捕された

  • おもちゃの剣なのにいきなり実刑というのは理由がある

  • イギリスの警察が厳しすぎるわけではない

  • 容疑者は「ゼルダの伝説」のファンではない

これまでのnote

おもちゃの剣なのにいきなり実刑

ニュースの記事には

英イングランド中部のヌニートンで、任天堂の人気ゲームシリーズ「ゼルダの伝説」に登場する剣「マスターソード」のおもちゃを公共の場所で所持していた男(48)が逮捕され、裁判所で禁錮4月の実刑と154ポンド(約3万2000円)の罰金を言い渡された。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0b8ae6238a78eb570338ad43443c84025bd6643e

とあります。


おもちゃの剣を公共の場所で所持していて禁錮4月の実刑です。

実刑という言葉がわからない人のために簡単に説明します。
一般的には逮捕されると、次のような流れになります。

逮捕→取り調べ→起訴→裁判

裁判では「◯◯を禁錮◯年に処す」というように刑罰の量が決められるのですが、執行猶予というものがついてくるときがあります。

執行を猶予するのが執行猶予で、決められた期間に悪いことをしなければそのまま生活してていいよ。というものです。

執行猶予がつかない場合を「実刑」といって、すぐに刑務所行きとなります。

おもちゃの剣を持ち歩いていただけで、執行猶予もなく実刑ですから、この記事を読んだ人はみんな、「イギリス厳しい」と感じたと思います。私も厳しすぎると思いましたし、逆に何か不自然なものを感じました。

イギリスではナイフによる犯罪が多い地域では特別に法律が決められていて、規制が厳しいところもあるのですが、おもちゃの剣を持ち歩いただけで実刑というのはおかしいです。

それで、詳しく調べてみたのですが、日本のニュースには書かれていないことがあるようです。

容疑者は前科があった

どうやら、この容疑者は前科があって、何度も警察にお世話になっているようです。

前科があって、何度も警察にお世話になっているということであれば、話は別で、すぐに実刑でも不自然ではありません。むしろ、実刑でないとおかしいくらいです。ここまでくると「イギリス厳しい」ではなく、「うん。日本でも同じだね」ってなりますよね。

イギリスの名誉のために言いますが、「おもちゃの剣で逮捕」というのも「いきなり実刑」というのも、このケースで言えば当たり前の話で、イギリスの警察も裁判官も正常に仕事をしています。

イギリスが異常なことをしているような印象を与えかねないニュースなのですが、イギリスは至って正常です。

補足

事件があったウォリックシャー州は、ナイフによる犯罪が他のどの地域よりも多い地域で、2023年だけでも5,234件のナイフ犯罪が起きています。その中には殺人事件も含まれます。この事件を考える歳、このような背景も含めて考えることを忘れないようにしたいですね。

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西洋殺陣師 / ファイト・ディレクター
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