見出し画像

英国「ゼルダの伝説」マスターソード所持で実刑①

また刀剣関連のニュースです。
今度は殺傷事件ではなく所持による逮捕なので、そこまで大きく取り上げられてはいなかったのですが、私の視点から解説したいと思います。


このnoteの要点

  • すぐに鞘から抜ける状態で警察官に近づいたから逮捕された

  • おもちゃの剣なのにいきなり実刑というのは理由がある

  • イギリスの警察が厳しすぎるわけではない

  • 容疑者は「ゼルダの伝説」のファンではない

日本の記事


逮捕された理由

ニュースの記事には

「刃渡り」約15センチのおもちゃの剣を所持して道路を歩いているのを警察官に見つかり逮捕された。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0b8ae6238a78eb570338ad43443c84025bd6643e

刃渡り約15センチで、鞘に納められていたものの、ボタンを押せば金属製の刃を引き抜くことができるものだった。
 ウォリックシャー州のあるイングランドでは、2019年に制定された法律で、短剣や攻撃用の武器になり得る先端が尖ったものなどを公共の場所で所持することが厳しく規制されている。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/1dc4c2bf177dfbfd75f64936d872e0bdb7a6c25a

とあります。

この記事を読んだ日本の多くの読者が「厳しすぎる」「これで逮捕というのはおかしい」と感じているようです。

私も「街を歩いただけで逮捕!?」と思ったので、調べてみたところ実情は違うようです。

逮捕までの経緯

流れだけを簡単に並べると、
①監視カメラのオペレーターが「怪しい男が歩いている」と通報
②通報を受けた警察官が現地に向かい
③手に持っているものを見せるように指示をして
④容疑者が「マスターソード」を見せながら警察官に近づく
⑤警察は「それがおもちゃであっても周りの人が恐怖を感じれば、それはやっちゃいけないことなんだ」と容疑者に説明
⑥逮捕

記事だけだと④~⑥の流れの意味がわからないので、想像を加えて考えてみます。

たぶん、こういうことではないでしょうか。

よく海外のドラマなどを見ていると、怪しい男に対し銃を向けながら「手に持っているものを出せ。こっちに見せろ」というようなシチュエーションがありますよね。たぶんこれもそういうことだと思います。

容疑者は「マスターソード」を警察官に見せながら近づいたわけですが、ゆっくり近づいたのか、いきなり近づいたのかもわかりません。当然いきなり近づいたら逮捕されると思いますが、ゆっくり近づいて逮捕されるとしたらなにか他の理由があるはずです。

いずれにせよ、おもちゃの剣でもペーパーナイフでも模造刀剣でも、それが危ないものだと判断されれば逮捕されるわけで、おそらくこれは日本でも同じですから、そこまでおかしなニュースではありません。

日本の場合の注意点

日本では、鞘から抜いた状態で警察官に近づくのは言うまでもなくダメですが、鞘に収められている状態であっても、鞘から剣をすぐに抜けるのであれば、これも職務質問の対象になります。

ご存知の通り、日本には銃刀法があり、刀剣類が規制されています。模造刀剣類については例外として手続きなしでの所持を許されていますが、すぐに使える状態になっていれば職務質問になり、場合によっては逮捕されますから意してください。

最近、公園や路上で殺陣の撮影をしている人を見かけます。模造刀剣ならOKとか木刀ならOKとかと思っているのかもしれませんが、模造刀剣でも木刀でも周りの人が危険を感じれば、それは”やってはいけないこと”になってしまいます。気をつけましょう。



いいなと思ったら応援しよう!

西洋殺陣師 / ファイト・ディレクター
サポートいただいた金額は研究費や渡航費にあてさせていただきます。これからも応援よろしくお願いいたします。