日本、目を覚ませ。ニューヨークは眠ってなどいない。
こんにちは!
まず、この終わり間近のタイミングで初めて記事を書くというくそ野郎のことを許してください。
わたしはルカと言います。去年の8月からニューヨークの大学にてジェンダー論とアートを学んでいました。(ちがう記事で詳しく説明しますっ)
何度かこのブログにも記事を投稿しようとしたのですが、通っていた大学には日本人は一人もおらず、日本語からほぼ遮断された生活を送っていたためひとたび文章を書くとルー大柴みたいな感じになって我ながらイラっとしたので書くのをやめてしまいました。あと嘘みたいな量の課題にまみれて忙しかったのです。
以上が、ブログを書くより酒を飲むことを優先した女の、苦し紛れの言い訳です。
いっこめの言い訳はもはやただの嘘です。
さて、ご存知の通り、ニューヨークは世界的にも異常な速度でコロナウイルスの感染者を増やし、医療崩壊、経済活動の停止を引き起こしました。
私の大学は3週間前にすべての授業をオンラインで行うことを決め、全学生の8割がキャンパス内の寮に住んでいたにも関わらず、寮を完全に閉鎖することを決定しました。
留学生は ”Go home. Please.”(お願いだから、実家に帰りなさい)と告げられました。
3週間前です。
3月11日、ニューヨーク市では52人の感染者が報告されていました。
8000000人以上が暮らしている街で、52人です。
突然の決定に、学生、特に留学生はめちゃくちゃに文句を言いました。
「帰国にいくらかかると思ってんの??」
「52人しか感染者いないじゃん。大丈夫だよ。」
「私は帰らない。街のどこかにホテル取る!そして飲み歩く」
我々は不満でした。
だって52人だぜ????帰国?????ありえない。って思っていました。
でも大学の決定は絶対でした。
ひとり、またひとりと寮を出て、実家へ向かいました。
あまりに突然の決定だったため、さよならやありがとうを言う時間さえ与えられませんでした。
私は泣きながら荷物をまとめました。
やっとの思いで得た、たった1年間だけニューヨークで学ぶ権利。道半ばで手放さなければいけないなんて、あまりに無念でした。
毎日留学生オフィスに行き、帰らなくてすむ方法はないか聞きました。留学当初からずっと面倒を見てくれていたオフィスの人も、「すごく残念だけど、どうしうようもできない」と泣いていました。
3月12日、しばらくの間は最期になるニューヨークだ、と友達と市内を15キロ歩きまわりました。ブルックリン橋でお寿司を食べました。(寿司かい。)
まだ街には大勢の人がいて、普段となんら変わりないニューヨークでした。
3月18日、私は空っぽのJFK空港から日本へと向かう飛行機へ乗り込みました。ほとんど誰もマスクはしていませんでした。
この時でさえ私は帰国要請を恨んでいました。
「こんなにニューヨークは普通なのに!なんで帰らなきゃいけないんだ!」
4月1日現在、大阪の実家のリビングで、ニューヨーク市で43,000人以上の感染者が確認されたというニュースを見ています。
誰もいないタイムズスクエア。
ゴミのない地下鉄。
クラクションの聞こえない道路。
たった3週間で、眠らない街ニューヨークは、ついに眠ってしまったかのように映っています。
でも、悲壮感にまみれたたった3分間の画面上のニュースでは、ニューヨークのしぶとさを伝えきれていません。確かに街は抜け殻のようです。
しかし、コロナウイルスはそこに住む人々の魂までは奪っていません。
そして、テレビはしつこく燃えるその魂をうつしてはいないのです。
ニューヨークに住む人々の憩いの場、セントラルパークには野営病院が、市民の手によって設立されました。
ロックダウンによって行き場を失ったホームレスの人々のシェルターでは、多くのボランティアが働いています。
授業は瞬く間にオンラインへと移行し、学生は画面上でニューヨークや世界の現状について話し合っています。私はコロナウイルスに関連するエッセイが2つ出題されました。
街中では定期的に、医療従事者へ感謝と尊敬の意をこめて拍手が沸き起こります。
https://www.youtube.com/watch?v=-5XqjyfI68c
人々はSNS上で”STAY HOME”(家にいよう)と呼びかけています。
私の所属していたアーティストのコミュ二ティでは即座にオンラインミーティングが開かれ、オンラインで音楽セッションを行いました。
外出禁止となった空っぽの街では警察官が巡回し、複数人の集まりを罰しています。
メンタルヘルス相談窓口が設置され、1万人以上のボランティアが対応しています。
スーパーマーケットの店員など、働かざるを得ない人々のために市内のバスは無料で運行しています。
クオモ州知事は絶え間なく会見を行い(毎日行っています!)、コロナウイルスに関連する詳細なデータを公表しつつ、ニューヨークのタフさ、人々のつながりを讃えています。
ニューヨークは決して眠っていません。止まっていません。
市民が、政府が、医療が、一丸となってウイルスと戦っているのです。
あれほど不満だった帰国要請ですが、帰国してからはニューヨークの対応スピードの速さにただただ感服しています。
あの時、大学が少しでもためらっていたら私は帰って来られなかったかもしれません。
家族から遠く離れた場所で、たったひとりでウイルスに感染していたかもしれません。
反対に、いら立ちを抑えられないのは日本国内の現状についてです。
SNS上にはいまだに国内旅行にでかけている友達がいます。
20人以上で飲み会をしているサークルがあります。
石川県知事は「無症状なら観光に来てください」と兼六園を開放しました。
ほとんどの授業はただただ延期をするだけで、生徒同士が意見交換をする場がありません。
政府は1世帯ごとに2枚布マスクを配布すると決定しました。
アメリカから帰国し、日本国内のコロナウイルスに対する危機感のなさ、世界で起こっていることへの関心の薄さに、ただただ困惑しています。
もちろん、ニューヨークの対策も完ぺきではありませんでした。だからこそこれほどまでに感染者が増え続けているのですし、ウイルスへの対応が遅かったという批判も多く起こっています。
しかし、我々は中国の例、ニューヨークの例、イタリアの例、その他多くの国の例を目の当たりにしています。そして対策を練ることができます。
「とおい一部の国でだけ起こっている混乱」ではもはやないのです。
日本、目を覚ませ。
マスク2枚で命は救えない。
しかも再来週配布だと??
3週間で43,000人以上の感染者を出したニューヨークの例を見た後に?
みなさん、世界を見て、自ら判断しませんか。
政府だけに頼り、政府に愚痴を言うだけではなく、ひとりひとりが自分で情報を集め、自分で判断するのです。
STAY HOME.家にいよう。
目を開けて、世界を見て暮らしていれば、おのずと生まれる決断であるはずです。
(おうちでオムライスを作りました。)
一刻も早くこの事態が収束しますように。
最後まで読んでくれてありがとう。ルカでした。