異文化交流で英語力向上より大事な目的
海外に住む経験をした方がいい。
全く海外に興味がなく、大学卒業時に親友たちに誘われたアメリカ卒業旅行もドタキャンした自分がこんな事を思う日が来るとは思わなかった。
一度日本を出たら不思議なことに、他の国にいくハードルが自分の中でグッと下がった。
この気持ちに驚きながらも流れに任せて、EU圏内はもちろんアフリカや米国まで羽を伸ばして、世界を渡り歩いて出した結論だ。
駐在のような収入が安定した暮らしでも、バックパッカーような金に苦労する不安定な暮らしでもいいが、可能であれば旅行ではなくて一定期間住むことを強くお勧めしたい。旅行はただ楽しむ目的で行くことがほとんどで良い面しか目に映らないからだ。そして当人の感受性のレベルによるが、一定期間住まないとその国の文化や空気を感じる事は難しいと思う。
また、ポジショントークになってしまうのが嫌だが、社会人経験を積んだ人こそ海外に住んだ方がいいと思う。
大学卒業後に新卒一括採用で就職し、仕事を通して気づかぬうちに自分の中に蓄積していった固定観念や価値観を一度破壊するいい機会になる。
日本と全く違う国に住みそこの社会システムに組み込まれる事で、良い面悪い面の両方に触れる事ができ、日本との差分を肌で感じる事ができる。
これが自分の固定観念や価値観のスクラップアンドビルドを生む。
自分が壊せた価値観については別のnoteに記載するとして、今回は外に出たからこそ深まった自己理解についてまとめる。
『この国にくる留学生より、Michiの方が色々なことに気づくね。
日本人の性質と自分をよく理解して言語化できているからだと思うよ。』
これはオランダ人の友達に言われて素直に嬉しかった言葉だ。
同時に、6年間毎日振り返りをしていて良かったと思った。
異文化交流の目的によるが、今の時代「英語を話せるようになる」事だけが目的なら、海外にわざわざワーホリや留学して異文化交流するコストの1/10くらいで、日本国内で英語力を向上させる手段は山ほどある。
もちろんワーホリや留学には良さがきっとあるし、そもそも英語力が向上して困る事は一つもない。それでも敢えてポジションを取るとすれば、自分をもっと知る事が異文化交流の目的として大事だと思う。
せっかく環境が大きく変わり外圧がかかる環境に飛び込むのであれば、自分の内面の機微に気づかず、それを学びもしないで過ごすのは貴重な時間が勿体ないと思う。日本とは異なるシステムで暮らし、日本人以外の文化を持つ人達と暮らさざるを得ない環境は気づきの機会で溢れている。
僕はオランダに来てから1日も休まず働いているが、これはオランダ人の友達からしたら「Crazy」らしい。笑
「真面目に働きすぎだよ〜、日本人は本当にワーカホリックだな。」と何回も言われた。
僕の事例は極端かもしれないが、日本で生活しているだけでは何の疑問も抱かなかった生き方が海を超えただけで「Crazy」なものに映る体験、日本で生活しているだけでは当たり前だと思っていた生活インフラが海を超えただけで「Crazy」なものに映る体験を沢山積むことができる。
『自分がどのように感じて、今後どうしたいと思っているのか。』
これらの体験が自分の将来を考える機会を与えてくれる。
この自己理解の促進が異文化交流の一番の醍醐味だと思う。
自分を知る事は、自分らしく生きる事、自分でいる事に繋がり、一度きりの人生をもっとゴキゲンに楽しむのに必要な要素だから。
自分の扱い方を知る訓練として日本でやれる事があるとすれば、日々の喜怒哀楽をメモしながら、その真因を深掘りしていくプロセスが個人的な経験からすると役に立っている気がする。
日本人の性質を知るための勉強は読書くらいしかできていないが、パッと思いつく以下の本は、「あー、こういうこと経験したな」と思い当たる節がありどれも面白かった。
・ルース・ベネディクトさん『菊と刀』
・戸部良一さん『失敗の本質:日本軍の組織論的研究』
・山本七平さん『「空気」の研究』
・阿部 謹也さん『「世間」とは何か』
最後に彼らはこう付け加えた。
「この経験はMichiにとって日本人としての文化、そして自分の文化を形作っていく良い機会だね」
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