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単なる飲み会での一コマ

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

「久方ぶりにサ、乾き物が食べたいよナ」
僕はボソッと言った。お酒を飲み始めてからおよそ2時間が経過していた。

昼間から酒を飲んでいる僕ら5人。本当にみんな阿保の頓馬なんですけど、なんかサ、たまーに集まってこうして酒を酌み交わしているとサ、いつの間にかとても素敵な空間が出現しているのですョ。

「ままままま、一杯!」
必ず「ま」を連呼する盆尻くん、36歳。

「もう~やだぁ…」
が、口癖な細子31歳。

「あ? 面倒くせぇよ。ほっとけ」
血の気の多い短気な奴。その名も鬼丸、40代後半。

「いいっすね。俺やりますョ」
かなりできる後輩、穴鷹29歳。


「久方ぶりにサ、乾き物が食べたいよナ」

僕はもう一度言った。

「でたョ。お前はいつも乾き物っていうけどョ、ビーフジャーキーでも食っとけョ。おい、だれか焼酎取ってくれ」
鬼丸が真っ赤な顔をしながら言った。何かといちゃもんをつけてくる鬼丸。まあこう見えて素面の時は真面目で繊細で良いやつなんだけどサ。

「おれ、賛成です。やっぱ乾き物と言えば、ピザですかね?」
かなりできる後輩、穴鷹が言った。さすがです。穴鷹がいれば、僕はこの世の後輩全ていらないくらい、絶大な信頼を置いているのです。

「からーいのがイイ。辛いの。辛い奴。ハバネロ的な辛さ。はい、約束ネ」
すでに泥酔している細子も賛成してくれた。メイクが崩れてひょっとこみたいな表情をしている。ここまでのつまみは細子が自宅で拵えてきたオードブル。から揚げ、エビチリ、ポテトフライ、ポテサラの4品だった。

「ままままま、一杯どうぞ、TAKAYUKIさん。おれ、注文しますワ」
盆尻くんがグラスにルービーを注いでくれた。そのあと、盆尻くんがスマートフォンを使用し、ピザを2種類頼んでくれた。辛いのと脂っこいのと。


45分後、到着予定の時刻を過ぎても、ピザが到着しなかった。


「おい、どうなってる。ちゃんと注文したのか。あ?」
しびれを切らす鬼丸。もう目が座っていて、胡坐をかいて座っているけど、左右に揺曳している。これはこれで面白い光景だと僕は思った。

「早くしてよネ。女を待たせるとあとが怖いョ。キャハッ………眠たーい」
細子も今にも瞼が閉じそうだ。

「ままままま、まってください。直電してみます」

盆尻がスマートフォンを持って廊下に出て行った。

ちなみにここは場末の集会場。昔、自治会の集まり等で使用されていた平屋だ。なぜか鬼丸が管理を任されているようで、年2回くらい、ここで飲んでいる。20畳以上の和室を貸切状態だから、最高の場所なのであります。

盆尻が戻ってきた。

「TTTTTT、TAKAYUKIさん。どうしましょ」
盆尻が僕にだけ聞こえる声で言った。

「どうした。酔いが醒めたのか、顔が青白いぞ」
僕の問いに、盆尻は自分の顔を触った。盆尻は乾杯のルービーのあと、ずっとワンカップ酒を飲んでいる。ある意味、一番酒が強いかも知れない。

「かかか、確認の電話をしたら、注文されてませんって言われました。こんなことありますぅ?」
困惑する盆尻。

「スマートフォンに受け取り通知みたいなのが届いてない?」

盆尻が左右に首を振った。

「ぢゃあ、注文してないョ。ネット注文したら必ず届くはずだもん」

僕は間違いないという意味を込めて、盆尻の尻を叩いた。確かにネット注文をすると届かないケースがあると言うのは聞いたことはあった。メールの設定の問題らしいとネ。だけどいざ自分たちの身に起こると、それはそれで面倒で、なんだかとても切ない気分に襲われた。

そのとき、集会場の玄関の扉が開いた。

「新聞ならいらねーぞ。今時、あんな小さい文字を誰が読むんだ、馬鹿者」
鬼丸が天井に向かって叫んだ。焼酎のボトル1本を空にした鬼丸は、寝る直前だ。

「わたしの王子様が来たの? どこどこ? どこなのョ」
そう言った細子は、テーブルに両腕を乗せ、その上に頭を乗せている。細子の周囲には8本のサワー缶が並んでいる。

「お待たせしました!」

僕と盆尻の前に、スーパーマーケットのビニール袋を両手に持った、穴鷹が現れたのだ。

「ああああ、穴鷹くん、君はまさにヒーローだョ」
盆尻が穴鷹に抱き着いた。

「いつの間に買いに行ったんだ」
僕の問いに穴鷹がニヤッとした。

「トイレに行ったタイミングで、乾き物以外のおつまみも必要かなと思ったので。抜け駆けしてすみません」

「いいい、いいんだョ。グリーンだョ。君は最高だョ」

ハイボールを10杯は飲んだであろう穴鷹。少し顔が赤いけど、姿勢も呂律もまったく普通。流石です。できる後輩は一味も二味も違うと、この時僕は痛感したのであります。

そして僕も、5缶目のレモンサワーを飲み干しました。

そして、「おーい。お話しだよー………じゃなくて、おーい。つまみが届いたから乾杯しよう!」


こうして僕らはまた飲み始めたのでした。


本日も最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。


ちゃんとチェイサーの水を飲みながら、アルコールを摂取しておりますので、どうかご安心くださいませ☆彡




【了】


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