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初詣

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

「本年も宜しくお願い致します。た、宝くじで3億円が当たりますように…」

初詣にまるで小4のような願い事をした場末のkindle作家。現代の厳しい言葉で言えば、まさに『オワコン』状態。これで齢40を過ぎているのだから始末に負えません。

快晴の本日。僕は近所の神社に参りました。日本全国には由緒ある神社が沢山ございます。みなさんは挙って「嗚呼…伊〇神宮だあ~成〇山だあ~出〇大社だあ~気〇大社だあ~鹿〇神宮だあ~」と渋滞の中、初詣に行かれておりますが、実はコレ、本末転倒なのですョ。

だって、だってサ、みなさんはどこに住まれておられるのでしょうか?

そうです。自宅から一番近い神社に詣でるのが一番なのです。灯台下暗しとはまさにこの事。地元の神社を軽んじて、やれパワースポットだ、今年は吉方位に初詣に行くなんて、まさに言語道断なのであります。

僕が地元の神社の神様ならば、「嗚呼…よくぞ来られた。そうかそうか。日頃の君は良く頑張っている。僕も気にかけていたところだョ。それでは君の願いをかなえて進ぜよう。イオナズン!!! これで君を苦しめていた蛸谷くん一家は、2ヶ月以内に引っ越しするでしょう。ひっひっひっ」と対応すること間違いナシです!

だからと言って、みなさんからの賛同を求めることはしません。要は心の持ちよう、捉え方次第でどうにでもなるのですから。


最後に僕はお札(木札)を買って帰ろうと思い、列に並んだ。すでに10人以上並んでいる。これだけ賑わっているのは、ご利益がある証拠なのです。

「地元の神社さん、万歳、万歳、万々歳🙌」

仮設テント内を、地元の勇姿たちが白い法被を着て忙しそうに右往左往している。

15分後、ようやく僕の順番が回って来た。

「家内安全・心願成就と書かれたお札をください」

すると60代であろうおじさんが「はい。5000円になります」と言った。僕のこめかみがピクっと動いた。まさか年明け早々に誤った接客用語を聞くことになるとはネ。

まあこのおじさんの場合は既に現役を退いている可能性もある。それに朝早くからこうしてボランティア的な活動をされておられるのだ。ここはスルーしよう。

おじさんがお札を手に持つと、白色の長細い紙にお札を入れていく。が、全く入らない。おじさん、不器用なの? しかも手元がブルブルと震えているではありませんか。えええええええッ………。

これで並んでいる理由が分かりました。この神社が決して賑わっているのではなく、単におじさんの手元が震えていて捌けない為、時間を要していたのです。まあ元旦なので皆さん、心を広く持って暖かくこのおじさんを見守っていた事でしょう。

頑張れ、おじさん。あと少しだョ。諦めないでネ。ファイト!


ようやくお札を半分まで入れることに成功したおじさん。が、ここから中々入らない。そう、あの『叶結び』のところが出っ張っているからだ。

さらに焦ったおじさんは、入れ方が雑になってきた。しかも手の震えが酷くなった気がする。おじさんの顔は今や顔面蒼白になっている。

だってそうだろう? 朝から寒い中頑張ってお札を細長い紙に入れようとするも全く入らず、手元はブルブル震えっぱなし。ってか、よくこのポジションを選択したよネ。絶対選択を間違えたよネ。ってか、これはおじさんのリハビリなのかな? そこに僕ら参拝客が巻き込まれているだけなのかな?

ってか、もう要領を得たでしょ。ねえ、おじさん。

僕は江戸っ子気質の血が流れている。とても見ていられない。もう我慢の限界だ………。

その時、おじさんが強引にいった。お札をグイッと押した。紙袋に切れ目が走った。おいおいおい。紙がキレちゃうぞ………。

「お、おまちどうさん」

何とかお札を入れることに成功したおじさん。デコに汗が滲んでいた。


僕は新しいお札を受け取ると、神社をぐるっと一回りしてから愛車に乗り、自宅へと帰還した。


2時間後、午前11時過ぎ。


「嗚呼…去年のお札を返し忘れた。嗚呼…面倒くせー。ちょー面倒くせー。まさに今から蒲鉾をアテにポン酒を飲もうとしていたのに。くうぅ~。行ってくるか」

僕は大急ぎで着替えると、愛車に乗って神社に行った。

『御札返礼所』にお札を置いて頭を垂れた。

ダッシュで愛車に戻ろうとした僕は、前方を見て愕然とした。あの御札コーナーに大行列が出来ていたのだ。ゆうに30人以上は並んでいる。

そして一番手前のパイプ椅子に、あのおじさんが座っていた。砂利を見つめて微動だにしない。しかもおじさんの頭から湯気が立ち上っているではないか。フフフフッ………頭から湯気が………アハハハハッ。

笑っては失礼かと思ったけど、ダメだった。僕はその場にしゃがんで笑った。笑い過ぎて久方ぶりにお腹が痛くなった。

僕の想像だけど、あのおじさんは手元をブルブル震わせながら頑張っていた。だけど暖かくなってきたので初詣客が一気にやってきた。おじさんのスキルでは間に合わなくなった。きっと参拝客の一人がおじさんに『心無い』一言を言ったのかも知れない。

そこでおじさんは交代。ベンチに退いた。まるで逆転を許してしまったピッチャーのように、おじさんは肩を落として砂利をガン見。それも頭から湯気を立ち上らせて反省中なのだ。


僕はゆっくりと立ち上がった。

「おじさん、ナイスファイト。逃げずに職務を全うしたその勇姿を、僕は決して忘れない。元気を出して行こうゼ。良き一年にしようゼ!」


僕はおじさんに頭を垂れると、愛車へ向かってダッシュした。


みなさん、是非地元の神社へ行きましょうネ!!!





【了】


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