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珍客夫婦襲来!

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

夕食は家でルービーを飲みながらアテを楽しみ揺曳している派の僕。酔いが回ってくると四股を踏んだり、畳の網目をガン見したり、ベッドに入る前にパラパラを踊ったりして過ごしています。

先日、滅多にないけど仕事で遅くなったので、とあるレストランに入店。ハンバーグセットの大盛りを頼んだ。店内は思いのほか混んでいて、満席に近かった。

ほいで僕の斜め前に座っている60代の夫婦が、「では、注文をします。とりあえず生ビールを2つください」と店員に言った。このお店は国道沿いに面していて集落からは離れている。僕がここから集落まで歩いたとしても、15分はかかるだろう。

それを60代の夫婦は僕の大好きなルービーを飲む算段。さらに外は雨が降ってる。酔った状態で歩いて帰るのは得策ではない。おそらくタクシーで帰るのだろうと、僕は勝手に想像し、勝手に結論づけた。

「お待たせしました。生ビールです」

店員がルービーを置いたところで、夫婦はジョッキをぶつけ合った。

「あらやだ。ビールが甘いワ」
派手なパーマをあてている奥様がボソッと言った。
「なにッ。ビールが甘いのか? 俺のは普通だゾ」
ここでお互いのグラスをチェンジして飲み比べる夫婦。
「本当だ。甘いや。甘いゾ。これ、本当に生か?」
だいぶ生え際が後退している夫が、呆れた声を上げた。

ピンポーン!

「あのさあ~この生なんだけど、一つはいつもの生で、もう一つが甘いんだョ。これ、二つとも生だよネ?」

そらそうだろ。心の中でツッコむ場末のkindle作家。

「確認して参ります」
店員が厨房に戻って行った。

「絶対間違いないよな。甘いよな!」
奥さんに確認をする夫。
「だから何回も言ってるじゃない。これは生じゃないわョ!」
奥さんが頬杖をついた。明らかに不貞腐れている。

僕はメニュー表をめくった。ドリンク欄に生ビールが3種類掲載されている。3種類ともいわば大手ビールで、地ビールやご当地ビールは取り扱っていないようだ。あとはサワーとワインしかない。

ってことは、生ビールが甘いと言うのは誤りだと僕はこれまた勝手に結論づけた。でもごく稀にビールサーバーの調子が悪いとか、考えたくはないけども、サーバーの衛生面に問題があるのかも知れないけどネ。

それにこの時間帯は一番忙しいはず。厨房だって戦場になっているくらいバタバタしているはず。それを生ビールが甘いとか言って、わざわざ店員を呼ぶこと自体が、僕には理解できない。

「お待たせしました。ハンバーグセットの大盛りです」


このタイミングで、本日のディナーが到着した。

僕は熱い厚いハンバーグを切り分け、ライスとともにバクバク食べ進めていく。
美味しい!
和風ハンバーグもイケるネ。焼き加減もniceです。コーンスープもこれまた美味しい。今後もたまには外で夕飯を食べるのも有りかな。

なんて思っていると、夫婦のテーブルに男性店員がやって来た。
「こちらが生ビールでございます」
男性店員が新しい生ビールを2つ、テーブルの上に置いた。
「どうぞお飲みください」
おそらくこの男性店員は、店長だと僕は思った。クレーム対応だ。

「それじゃ。すいませんネ」
夫の言葉が出たところで、まずは奥さんが飲んだ。そして頷いた。
次いで夫が飲んだ。そして大きく頷いた。
「間違いない。ビールだ。ビールだョ!」
なぜか喜びを爆発させる夫。

だから、最初からビールだってば!!!

「当社の生ビールはサーバーを使用しており、閉店後は毎日熱処理、熱殺菌を行い、Open前には味もチェックしておりますので、ビールの甘い味がするというのは初耳でございます」

きっぱりと言い切った店長。流石です。

「いや、自分もネ、なんも疑っちゃいませんけどネ、なんか飲んだ感じが甘かったんですョ。な、な、そうだろ?」
夫の言葉に、わずかに頷いく奥様。

「かしこまりました。それではこちらを下げさせて頂きます。ごゆっくりどうぞ」
店長が厨房に戻って行った。

無言でビールのジョッキをガン見する夫婦。面白過ぎます………。

このやり取りの間に、僕はハンバーグセットの大盛りを完食してしまいました。とても美味しかったです。

夫婦のビール問題も解決したところで、僕は伝票を持ち席を立った時だった。

「やっぱり甘いワ」
奥様がボソッと言った。
僕は自分の耳を疑った。
噓でしょ?

「何を言ってるんだ。これこそ生だゾ」
そう言いながら、またジョッキを交換して飲んだ夫婦。

すると夫が言った。
「本当だ。甘いや。甘いゾ。これ、本当に生か?」

ピンポーン!

ってか、単純にあなたたちの体調が悪いだけだろ。さっさと飯食って帰れよ。

僕がレジで会計をしていると、夫の声が聞こえた。
「おい、ところで何を頼んだ。あ? まだ頼んでない。とりあえず枝豆だな」

ピンポーン!

なんでピンポーン! を2回も押すんだよ。

ってか、なんでレストランで枝豆を注文するんだョ。居酒屋に行け!


みなさん、久方ぶりの外食も良かったですが、珍客には注意されたし!




【了】


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