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仕事は楽しいですか?

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

「仕事は楽しいですか?」

って若人に言われたので、僕は正直に「NO!」と答えた。すると若人は大きくため息をついた。

「どうした? 逆にYESって言って欲しかったのか?」

「ええ…まあ。でも仕事ってそんなもんですよね。失礼します」

若人は去って行った。まだ午前中だと言うのに、一体全体何を求めて僕の所にやって来たのだろうか。


翌日。通路で若人とバッタリ会った。
「君、仕事は楽しいかい?」
僕は若人に尋ねた。

すると若人は、「YES半分、NO半分です」と答えた。

なるほど。今の若人はやはり考え方が特殊だ。白黒つけるのではなく、妥協点を探っているのだ。やるじゃないか、若人ョ。

「TAKAYUKIさんは出向で弊社に来られています。どうですか、弊社は? なんかおかしくないですか?」

若人が詰め寄ってきた。普段大人しい若人が、目地からで僕を圧倒してくる。僕は心の中でこう思った。

「面倒くせー。超面倒くせー。お手洗いに行っただけなのに。嗚呼…今日は仏滅かな。それとも昨日、蒼天の悪口を言ったから罰が当たったのかな」

まだ若人がガン見しているので、僕は何の問題があるのかを若人に質問した。すると堰を切ったかのように次々と不平不満が出て来た。これは居酒屋で話しを聞く内容であって、とてもお手洗い帰りの廊下で聞く内容ではない。

「分かった。申し訳ないけど時間が無い。箇条書きでいいからLINEに送っておいてくれ」


その日の夕方。若人から2000字を超えるLINEが届いた。しばらくの間、僕は既読スルーをしていたけど、勇気を持って読んでみた。その結果、8割は愚痴だった。残りの2割は若人の言っていることが正しいというか、的を得ていると感じた。

翌日、僕は朝礼後に若人を呼び出した。そして3つの提案を行った。

15時。事務所のドアが開いた。若人がニヤつきながら僕のデスクにやって来た。
「TAKAYUKIさん、ありがとうございました。ご指示通り実行してみたところ、大変有意義な会議となりました。参加されたみなさんからも画期的だと言われました。これからも継続していきます」

昨日までとは真逆の表情と自信にあふれている若人。僕の提案を素直に聞いて実行した素直さが、解決へと導いたのである。

「それでは失礼します!」

若人は自信満々で出て行った。

すれ違いざまに総務課の尻子さんがやって来た。

「彼、どうしたんですぅ? 昨日までかなり凹んでましたけど?」

不思議そうに僕を見てくる尻子さん。今日も南国にいるかのような甘い香水が僕の鼻腔に届いた。

「簡単だョ。彼に3つの提案をしたんだ」

「な、なんですかあ。その3つの提案って!」

興味津々に聞いてくる尻子さんに対し、僕は簡潔に説明を行った。

若人の一番の悩みが会議だった。zoomミーティングも含めて1回の会議時間が1時間から1時間30分。年明けからはゆうに2時間を超えているとキレていた。にも関わらず、その場で結論が出ないまま次回へと持ち越しになっているとの事。そして最低でも会議は週3回以上行われいるそうだ。

さすがにこれは僕ちゃんでも怒り心頭となる。

そこで僕は3つの提案を行った。

①会議で討議する内容を事前に関係者に送付しておくこと
事前に送付しておけばやる気のある人は必ず目を通しておいてくれるし、事前に意見や質問も考えて来てくれる。これだけで会議は時短となる。

②会議の時間を決めておく。
人間の集中力は最大で30分しかもたない。だったら会議の時間だって30分で十分。それに毎回結論が先送りになっている非常事態だ。だったら尚更会議時間を決めるべきだ。集中して議論するには時間が有限であることを理解してもらう必要がある。

③会議中は椅子を使用しない。
椅子に座って話しをするから頭が働かないのです。そこで立って話せば血流が良くなって頭が働き出します。それに誰だって立っていれば疲れるから、早く椅子に座ろうと頭をフル回転にして意見を言うはず。結論の先送りも防げるでしょう。またカロリーも消費できて一石二鳥です。

腕を組んで聞いていた尻子さんが言った。


「まあ…①と②は賛成だけど、③はちょっとネ。時代的にアウトかもネ」

なんて鋭い指摘をくれた尻子さん。今日も左右に尻を振りながら、尻で椅子を弾き飛ばしながら事務所を出て行った。

僕は安堵すると同時に不安になった。若人が元気を取り戻したのは良かったけど、尻子さんの言う通り、③を実行していたら、これは完全なるパワハラ・モラハラと認定されてしまう。

僕は若人に架電した。
「君、会議中はみんな椅子に座っていたよね? 発言者以外、みんな座っていたよね?」

すると若人が笑いながら答えた。
「勿論です。③は苦肉の策です。でもいつの日か実行しますよ」

若人が自信満々に答えた。
「君、実行する時が来たら、その時は僕も呼んでくれ」

「分かりました。その時はお呼びします。TAKAYUKIさん、今、とても仕事が楽しいです!」

通話が切れた。

そして定時のチャイムが鳴った。

「さあ定時だ。帰ろう。わーい。わーい」




【了】


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