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他部署への引継ぎ②

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

先日、僕は他部署への引継ぎを行った。引継ぎ先は蛸三課。
蛸三課の烏賊山くんにzoomミーティングを行い引継ぐも、結果、長い目で教えてやって欲しいという結論に達した。烏賊山くんと本部長との関係性を見て僕もそう思った。


引継ぎから3日が過ぎた。蛸三課の烏賊山くんから何の連絡もない。
引継ぎ用の資料は作成し、zoomミーティングで使用した。データも本部長および烏賊山くんに送信済みだ。

普通なら蛸三課側からアクションを起こすべきだと思う。その為の引継ぎを行ったのだから。

先ほど、取引先から成果品一式がメールで届いた。僕はこれだと思った。引継ぎ手順の終盤になってしまうけど、ちょうど良きタイミングで成果品一式が届いたので、これを引継ぎの第1回目と決めた。


早速僕は蛸三課の本部長に架電した。が、繋がらなかった。

烏賊山くんに架電した。

「TAKAYUKIです。烏賊山くん、お疲れ様です。引継ぎの件なんだけど」

僕の問いに対し、烏賊山くんが答えた。

「はあ…いま本部長が不在で、自分の方から引継ぎを行う日程は決められませんので………」

烏賊山くんの声を聞いた僕は不安を覚えた。大丈夫かな?

「分かった。そしたら明日の朝一番で連絡をもらえるかな? いつ引継ぎ業務が開始できるのかを。本部長でも烏賊山くんでもどちらでも構わないから連絡をください」

「か、かしこまりました」

通話を切った僕は、頭を抱えた。この電話のやり取りを仮に取引先が聞いていたとしたら、どう思うだろうか。頼りない烏賊山くん。zoomミーティングで対峙した際、烏賊山くんの白髪が気になってはいた。それでも僕より年下。30代後半だろう。


「僕ちゃんより年上ではないよネ。絶対にネ」


翌日、僕はデスクに座って貧乏ゆすりをしている。
時刻は11時。
朝何番になったら、蛸三課から電話が来るのだろうか。僕はすでに引継ぐ用の手順書まで作成して準備万端だというのに………。

「嗚呼…お腹が空いた。天麩羅そばの大盛りでも食べてこようかな?」

なんて自暴自棄になりかけた時、スマートフォンが鳴った。

「遅くなりました、TAKAYUKIさん」

かけてきたのは本部長だ。

「いえいえ。早速ですが、どちらで引継ぎを行いますか?」

「TAKAYUKIさん、すいません、烏賊山にはこの業務はできません」

僕は言葉を失った。

「理由は烏賊山の老いが原因です。すでに痛風も爆発してクロックスのサンダルを履いて通勤している男なのです。すいません。すでに会長をはじめ全ての重役および各部署の長には連絡済みです。本当にごめんなさい」

通話が切れた。

スマートフォンをポケットにしまった僕は、どこか安堵していた。

そうだよ。そうだよ。ソースだよ。

この業務が烏賊山くんにできる訳がない。仮に引継いだ後、その業務が全うできなければ、当然僕にも責任が発生するだろうし。

だけど最後に一つの疑問が残った。

「老い? 痛風? 烏賊山くんは果たして何歳なのだろうか?」

僕は部署内のみなさんに聞いてみた。

「烏賊山さん? 確か58歳ですョ。何でも週の半分は会長の運転手を務めているそうで………」

「あ、ありがとう」

そう言った僕は、席を立った。そしてそのまま事務所を出た。

大股で歩きながらお蕎麦屋さんに入店。時刻は11時15分。

「構うもんか。蛸。烏賊。烏賊山!」

このあと、僕は天麩羅そばの大盛りとミニ天丼を食べましたとサ。




【了】



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