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総務課の尻子さん

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

過日。僕は事務所で仕事に励んでいた。
「嗚呼…何でこんな事になるんだ。見なかったことにしよう」
僕は隠ぺいを図ることにした。

気を取り直して次の仕事に取りかかるも、先ほど隠蔽した事が頭の片隅に引っ掛かって、とても気になる。罰が当たったらどうしよう………。
「もぅ~しょうがないなぁ…。蛸村くん、烏賊平さん、ちょっと来てくれるかな」
結果、僕の仕事時間は30分も奪われてしまいました。

「TAKAYUKIさーん。いま~お時間、ヨロしいでしょうか?」

総務課の尻子さんが真正面から近づいて来る。小柄で細い尻子さん。真正面から見ても尻子さんが尻をフリフリさせながら歩いているのが分かる。それも満面の笑みで近づいて来るではないか………。

尻子さん、あなたはモデルさんなのかな? それか僕のデスクまでのルート上に、レッドカーペットでも敷かれているのかな?

「あのぅ…来月のMHどうされますぅ?」
尻子さんが大きな声で言った。僕の鼻腔に甘い香りが届いた。尻子さんのネームプレートはいつも曲がっている。

「なに? MHってなに?」
僕は意表をつかれ動揺します。
マジでなんだっけ?

「つまり~メモリアルホリデーってことです。ちなみに去年は12月5日にMHを取得されてます。今年はどうしますぅ?」
首を傾げる尻子さん。あなたは女優さんなのかな?

「嗚呼…メモリアルホリデーか!」

ここでようやく僕は得心した。MHとはメモリアルホリデーの略。入社して1年が経過すると、入社記念日として1日休みを頂けるのだ。そんな制度があったことを僕はすっかり忘れていた。

「そうだな…12月1日にするョ」

すると、尻子さんが『ふふふッ』と笑った。

「あ、いいんですね。 本当に12月1日でいいんですね、TAKAYUKIさん。ちなみに12月1日は日曜日ですけど、いいんですね?」

まるで取調室の刑事さんのように聞いてくる尻子さん。それも半分笑いながら聞いてくる始末。確か尻子さんは齢30だったはず。どうみても高校生から成長していないと思われる。

「そうか。それなら…12月2日の月曜日にするョ」

「了解。ぢゃあ予定表に記入しておきます。あと他になにかありますぅ?」

金髪をかき上げながら聞いてくる尻子さん。自ら訪問しておいて逆に質問をしてくる尻子さん。気が利くのか利かないのか、判断が難しい。

「僕は大丈夫だョ。だけどみんなはどうだ………」

「みなさーん。私になにか、き・き・た・い・ことありますかあ」

僕の声を遮って大きな声を出す尻子さん。とてつもないパワーだ。

誰も声を上げない。ってか、誰も尻子さんの方を見ようともしない。完全に尻子さんを不審者扱いしている。これはこれで問題があるけどネ。

すると尻子さんが無言で頷いた。意外と肩幅が広いんだなと僕は思った。

「OK。邪魔しました!」

尻子さんは案の定、尻をフリフリさせながら事務所を出て行った。

「嗚呼…なんか疲れた。気を吸い取られた気がする」

僕が独り言をいうと同時に、12時のチャイムが鳴った。

ヨロヨロと席を立ち上あがった僕は、チンラを食べにステーキ屋さんに行った。そしてステーキ300gを完食し、尻子さんに吸い取られたエネルギーを取り戻したのであった。




【了】



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