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読書紹介23 「クスノキの番人」

あらすじ

その木に祈れば、願いが叶うと言われるクスノキ。その番人を任された青年と、クスノキのもとへ祈念に訪れる人々の織り成す物語。

感想

東野圭吾さんの作品に多い殺人事件などの謎を解くミステリーではなく、「秘密」「時生」「ナミヤ雑貨店の奇跡」につながるファンタジー内容の作品でした。
 
それでも、ちゃんと、クスノキによってつながるそれぞれの家族の思いやその後どうなったかなどの「なぞ解き」要素が入っていておもしろかったです。

登場人物の言葉に次の内容がありました。

 清く正しく美しくなんて幻想。
 頭の中を誰かにのぞかれるなんて絶対に嫌。妬みやひがみ、醜い思いがいっぱい詰まっているから。・・・預念できる人は、よっぽど自分に自信がある人だろうな。いい加減に生きてきた人間には、預年する勇気なんてないと思う。

自分も今の心の中、「念」が人に知られると思うと、こわいし嫌です。
恥ずかしい思いの方が先に来ます。
それぐらい、いつもネガティブな思いを持っているからです。
でも、人間だから、ポジティブもネガティブンも「両方」の思いを持つし、全部を含め「わたし」と言えるなあと思いました。

変わらぬ日常生活を送っていると、ずっと生きていられると錯覚します。
だから、自分の大切な人への思いも、照れくさくて、今じゃなくても、いつでもいえる、とばかりに普段はなかなか言えません。

でも、いつ死が訪れるかは分かりません。
「いつか」「いつか」と思いつつ、相手に伝えられなかったら、後悔します。


今回のお話で、ファンタジーの形を通じて、「想いをつなぐ大切さ」「相手の思いを受け止める勇気」などについて教えてもらった気がしました。
改めて、東野圭吾さんって、ほんとうに、いろんなジャンルの作品を書き分けられてすごいなあと感動しました。

著書情報
「クスニキの番人」東野圭吾
・発行所   実業之日本社
・発行年月日 2020年3月17日
・値段    1980円

皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです

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