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エリザベス女王に学ぶ~100歳まで生涯現役でいる方法
「人生100年時代」と言われるようになりました。
実際、日本でも毎年、厚生労働省から発表される100歳以上の高齢者数は、2022年9月で9万526人を超えました。自分の周りには、100歳を超える人がいないので、実感としてはないのですが、統計的には、やはり増えてきていることが分かります。
ただ、「100歳まで生きたいですか?」というアンケートでは半数以上の人が「生きたくない」と回答しています(オレンジページ調査より)。
でもそれは、自分の周りに100歳になっても、元気に生きている人を見たことがないから。人は、みたことがないものには怖さを感じます。
なので、「元気に100歳まで生きる前例をつくろう!」と以前の記事に書きました。
では具体的にどうすると100歳まで元気に生きられる~生涯現役でいられるかについて、
96歳まで健康寿命を保ったエリザベス女王の生き方からまとめてみました。
よかったらお付き合いください。
1 「働き」続ける~人に喜ばれることを続ける
エリザベス女王は、亡くなる2日前まで、笑顔で公務をこなしたそうです。また、国葬の際に、多くの市民が女王に別れを告げようと集まった様子をからも国民に愛され、心の支えになっていたことがうかがい知れました。
100歳以上の人を調査したアメリカの研究では、そのほとんどの人に当てはまる重要な共通点が見つかりました。それが、
現在、働いている。
あるいは、最近まで働いていた。
です。
逆に、リタイア(定年退職、引退)すると寿命が5年縮むという研究もあるそうです。
私自身は、以前、引きこもりのような生活を送っていたことがあります。
「わたしだけの時間」はたくさんあり、読書でも、ゲームでも、何でも好きなことができて・・・と思っていました。
実際、初めの頃は楽しかったのですが、だんだんと精神的にきつくなりました。
それは、
「自分は必要とされていない」
「何にも役立っていない」
「わたしなんか・・・」
という思いがふくらんだり、人との関わりが極端に減ったりしたからです。
「ボランティアハイ」という言葉がありますが、人と関わったり、何か自分が人に役立っている、人を喜ばせていると思えることは、元気のもとになります。
なので、定年退職したとしても、何か他者貢献、社会貢献活動をすることは、自分の健康寿命にとっても重要です。
例えば、次のような事でもいいのでは、ないかと思います。
・畑で野菜を作って、おすそ分けをする。
・掃除の会に参加して、公共施設や地域の学校をきれいにする
・図書館や学校の「読み聞かせボランティア」に参加して、活動する
・・・
脳科学的にも、
人に親切にすると「オキシトシン」という幸せホルモンが分泌されることが知られています。
たとえ、経済的に自立したとしても、生涯現役で、何か人と関わる事、貢献できることで、つながる時間を持つことが大切になりそうです。
2 好きなこと、楽しみなことを「習慣化」する
エリザベス女王は、毎日、忙し公務の中でも、自分の楽しみ、遊びを忘れなかったそうです。
忘れなかったというより、「生活習慣の中に組み込んでいた」と言った方がいいかもしれません。
例えば、起床後、アフタヌーンには、ビスケット、チョコレート、スイーツ、そしてティーを楽しまれたそうです。
また、写真や切手の収集、ガーデニングを始め、乗馬や愛犬との散歩など多趣味。
さらに、ファッションでは服の色のこだわりも強かったようです。
その年齢、その時々の関心に応じて、自分の楽しみの時間をちゃんと確保されていました。
そういえば、趣味をもつ人は認知症の発症リスクが低いとの研究もあります。
エリザベス上が亡くなる直前まで、元気に公務をこなされた一つの要因かも知れません。
3 「ふれあう」時間を大切にする
先ほどの多趣味の中にもありましたが、エリザベス女王は愛犬家でも知られています。生涯30匹以上のコーギーを飼育しましたし、毎日の散歩も楽しまれていました。
また、家庭菜園で作られた野菜が料理されることも楽しみの一つだったそうです。
動物に触れることで癒されます。
セラピーとして活用されていることもあります。
同じように、植物でも癒されます。
古代エジプトやギリシアでは、治療の一方法として、庭園を歩くこと(今でいう、森林浴も入るでしょうか)や、畑作業などを勧めました。
また、「園芸療法」というセラピーもあり、心身が傷ついた人の社会復帰の為に、第一次世界大戦後などに広く普及していました。
逆に、コンクリートの打ちっぱなしや直線だけの色彩の変化のない建物に住んでいる人のノイローゼや病気、自殺や犯罪率が上がったという研究もあります。ただ、同じ場所に、芝生や植木など、自然のものを置いて変化を付けたら、その率も下がりました。
さらに、部屋に観葉植物を置くとリラックス効果が高く、睡眠の質にも影響するという研究結果も出ているそうです。
考えてみたら、人間も自然の一部なので、自然が全くない、人工物だらけの中で生活するのは、「ストレス」がよりかかるのかもしれません。
園芸や花を飾る、ペットとの散歩など、ちょっとした「自然」との関わりは、意外と大きな癒しをもたらしてくれるようです。
さらに、海や山の中でのキャンプ、時に夜空の星を見るのも、「非日常」の経験として、生活の中でのアクセントになります。
人や動植物と触れ合う時間を大切にすることは、健康寿命にとっても重要な要素になります。
4 健康につながる生活習慣~ぐっすりと眠る、日光浴
女王は、夜11時までにはベッドに入ったといいます。
一緒に本と日記帳をもって。
どれだけの時間を読書や日記を書くことに当てたかは分かりませんが、30分~1時間だとしても、睡眠時間は8時間ほどあったと推測できます。
最近の睡眠研究からも分かってきたように、
健康に重要な影響を与えるのが睡眠時間と質です。
6時間以下の睡眠では「睡眠不足」。
7時間以上が推奨され、8時間寝ることが理想とされています。
もちろん、個人差はあるのですが、睡眠不足がいろんな病気のリスクを引き起こすことは間違いありません。
女王は8時間寝ることで、肉体的疲労を回復し、精神的なストレスも緩和していたことがうかがわれます。
また、起床後、日光浴をしながら朝のティーを楽しまれたそうです。
日光に当たることで、ビタミンDが活性化することが知られています。
そのおかげで、免疫力が上がったり、骨を丈夫にしたり(骨粗鬆症を防いだり)にもつながります。
女王は、散歩も習慣にしていたといいますから、運動しながらの日光浴もしていたことになります。
散歩ができなくても、日光に当たるだけでも健康に良い影響を与えられます。
5 読書や日記で「ストレス解消(ストレスから距離をとる)」
読書がストレス緩和にいいことも知られています。
何か悩みがあった時、本を読む(解決法を調べる、知る)だけでストレスは軽減できます。それは、解決法を知ったということだけで、自分で何とかできる、何とかなるという気持ちのゆとりが出るからです。だから、たとえ、状況が改善されていなくても、まず本を読んで知るだけでも不安をなくすことはできます。
ちなみに、不安は「脳の偏桃体」と言う部分が興奮している状態です。そして、うつ病になる人は、長期間ストレスにさらされることで、この「偏桃体の興奮」が継続し、オンとオフの切り替えができなくなっていると考えられています。だから、うつ病の人は常に不安で、ネガティブに考えやすくなってしまいます。逆に言えば、この偏桃体の興奮をおさえれば、不安などのストレスもなくせるということです。
その一つの方法が「読書」と言えます。
実際、言語情報が脳に入ってくると、偏桃体の興奮がおさえられ、ネガティブ感情が静まり、決断能力も高まることが観察されたという研究結果もあります。
別の研究では次のような結果もあったそうです。
イギリスのサセックス大学でのストレス解消研究についてです。
読書 68%
音楽視聴 61%
コーヒー 54%
散歩 42%
TVゲーム 21%
の順番でストレス軽減効果が見られたそうです。どうしてそうなるのかの仕組みははっきりとは分かりませんが、不安や悩みの事ばかりに意識がいっていたのが、読書によって「別の世界」に意識を向けられ、悩みを客観的に見たり、一度離れられたりするからかもしれません。
女王は寝るの時間に読書と共に日記を書く習慣があったそうです。
何かとイギリス王室のスキャンダルが取りざたされて、普通で考えれば、ストレスフルな状態も多かったと思います。
それでも、あれだけ元気にそして心のバランスを保てたのは日記を書いたことが大きいのではないかと思われます。
日記を書きながら、自分について振り返られます。
そして、「ガス抜き」にもなります。
初めは、感情が高ぶって、相手の悪口だったり、自分のネガティブな気持ちを書き連ねたりしても、誰にも読まれません。その代わり、心の中にあった、いろんな思いを一度日記に書いて吐きだすと、「冷静」になれます。気持ちを整理できます。
書き出すことで、ネガティブな気持ちと「距離」をとれたり、気持ちを落ち着かせたりできます。
そういえば、精神医学の世界では「日記療法」が、非常に効果が高い方法として取り入れられているそうです。日々、ストレスをが「0」になることはありませんが、日記を書くことによって、ストレスとうまく付き合う「心のしなやかさ」が生まれ、心が折れづらくなるからだと思います。
長生きしている人には、それなりの工夫、良い生活習慣があるようです。
エリザベス女王から「ふれあい、つながりを大切にする」「睡眠時間の確保」「日光浴」「読書」「日記を書く」「趣味・楽しみの時間を失わない」などを学ばせてもらいました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです