ある日の接客業
◯月◯日
つかつかと歩み寄ってきた壮年の男性が、突然うちのお店の敷地じゃないところにあるゴミ箱を指差し、壊れた傘が捨てられている! なんとかしとかんか! 危ないじゃないか! と大きな声を出される。
こちらが何かを言う前に急いで立ち去られる。
なんでわざわざちょっと身を乗り出さないと見えない他の店のゴミ箱を私が見てなきゃいけねぇんだよ。
◯月◯日
店の外を拭き掃除していると、小学1年性くらいの団体さんが通りかかる。
「こんにちは」と声をかけると可愛い「こんにちは〜!」の大合唱。
可愛すぎてニヤニヤしながら「行ってらっしゃい」と手を振ると、通り過ぎざまに私にハイタッチしていく流れができ、無事尊死。
一日頑張れるぅ〜〜〜!
◯月◯日
おぼつかない足取りで歩いている老夫婦がしっかり手を繋いでいるのを目撃。尊さに身悶える。
◯月◯日
いつも話しかけてくれる常連様が遠くにお引越しされると伺う。
だいぶご高齢だけど大変お元気な方で、「美人薄明っていうから私は長生きなのよ!」とリアクションに困るネタをお持ち。
それぞれの地でお互い頑張りましょうねと励まし合う。飴ちゃんをいただく。しんみり。
◯月◯日
歩きスマホの高校生くらいの男の子が高齢男性がいることに気づかず目の前に向かっていってしまい、すぐに気づいて回避したものの高齢男性激怒。
いきなり罵詈雑言を浴びせ出したので慌てて仲裁に入る。それでも収まらず、見ていた通行人の男性も駆けつけてうっすら威嚇してくれてなんとかクールダウン。自分の見た目が可愛いことに悔しさを覚える……わけもなく「弱そうな相手とみるやいきなり攻撃するなんて野生生物かなんかかな?」と内心罵倒する。
◯月◯日
今日は休み。同業のお店を利用したところ危うく全然知らない店員さんに「おつかれさまでーす」するところだった。系列店でもないから本当にたにんに。あぶない。
◯月◯日
今日は一日中お腹が空いていて、お昼ご飯を食べた直後に晩御飯に思いを馳せた。……チキン南蛮かな。
◯月◯日
「なぜそんなところで?」と言いたくなるくらい道のど真ん中で立ち止まり、スマホを操作するおばさま。
後ろの人が避けようと右に逸れたところ、おばさまも周りをノールックのまま右に踏み出す。後ろの人の反射神経に感謝せぇよ。
◯月◯日
お客様対応中、びっくりするぐらい噛む。しれっとした
顔で誤魔化す。
◯月◯日
5歳くらいの男の子がわーっと走ってきて、折り紙で作った腕時計を自慢して行く。上手に折れたねぇええぇぇ〜!
◯月◯日
「多分ついさっきそこでポーチを落としたけど届いてないか」という質問をするのに、まず「今日は朝から忙しいからって昨日の夜からでかける準備してたんだけどねぇ」から入るマダム。
『ポーチ』という単語が出てくるのにかなりの時間を要し、それを落としたということが判明する頃には日が暮れるかと思った。
ポーチは見つからなかった。
◯月◯日
今日は休み。
前野職場の経営がやばいという話を聞きながら食べるご飯はおいしいなあ!
◯月◯日
レジに来てから財布を探す人が続く。列伸びたからお待たせしちゃってたんだけど、その間何してたの?
◯月◯日
左胸に名札を付けているのだけど、クレーム対応した高齢男性が身を乗り出して顔を近づけて名札を覗き込んできて不快でしかなかった。デリカシーどこに忘れてきたの? そもそも持ってた?
本名の名札もやめてほしい。スタッフ1とか従業員Bとかでいいやん。
※めっっっっっちゃくちゃフェイク入れております。