これだけ
夏が来るのが早すぎる。
もうちょっとじわじわ来て欲しかった。
しかし、夏の本気はこんなものではないと酷暑の街に住む私は知っている。
夏の冷蔵庫にはスイカときゅうりを常備している。
スイカは水分補給にちょうどいい。私の大好物であるためスーパーに行っては毎回カットスイカを買っている。
ほんとうは丸ごとスイカを買いたいけれど、ジュースやビールでいっぱいの冷蔵庫には入れられないのだ。
カットスイカの良いところは、よく冷えてすぐに食べられるところだ。
冷えたスイカのうまさは格別だし、ぬるいスイカのまずさも格別である。
きゅうりは野菜嫌いの私が食べられる数少ない野菜のひとつ。
ちなみに味噌をつけて丸ごと齧ることはできるが、冷やし中華の上に乗っている千切りきゅうりは食べられない。謎である。
きゅうりは漬け物にすれば汗をかく夏の塩分補給にぴったりだ。
浅漬けや中華風、屋台で売っているような一本漬けなど、ネットには大量のレシピが溢れている。
私も色々試してみた。みんなうまい。
うまいけど意外と調味料の種類が多く、きちんと計らないと塩辛くなってしまったり、味がぼやけてしまったり、うまいけど面倒だなと思っていた。
いかに簡単に何も考えずにうまいきゅうり漬けを作れぬものか、と考えて思考を重ねた結果、醤油だけで漬けるという結果に落ち着いた。
丸ごと一本醤油に漬けるだけ。
これだけで十分だった。
簡単すぎる。でもうまい。
さらにサッパリしたい時は、お酢と醤油で漬ける。分量なんて特にない。お好みで、楽すぎる。
ごま油をかければ中華っぽいし、鰹節をまぶしてもラー油をかけてもどうにでもうまくなる。
もしかするとこれはきゅうりのポテンシャルの高さがなせる技なのかもしれない。
硬めの皮、水分の多い本体、これらが合わさって醤油に漬かるとちょうどよくなるのかもしれない。
ちなみにきゅうり以外では試したことがない。
なぜなら漬物はきゅうりしか食べられないからである。
料理嫌いで料理下手の私だが、同じようなメニューでは家族も飽き飽きだろうと、たまに手の込んだ料理を作るが、工程と調味料の多さに辟易する。
それと調理器具の片付けもつらい。
それでいて家族の反応は薄く、ただ疲労感が残るだけである。
これは無駄な頑張りだなと思い、手の込んだ料理はやめた。
結局切って醤油をつけただけの刺身はうまいし、切っただけのトマトもうまいし、買ってきただけのキムチもうまい。
料理に疲れ、家族の反応が薄いことを不満に思いながらまずいビールを飲むよりも、適当なメニューで楽しくうまいビールを飲みたいものである。
適当だからと言って我が子よ、じゃがりことポテロングはご飯とは言わないのだよ。
ちゃんと米を食べてください。
今日の読書
「背筋 近畿地方のある場所について」
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