【7】夫と面会した後の私(妻)の心の変化
アルコール依存症の治療入院をしている夫と1ヶ月ぶりに面会し、その変化に驚いた。
今までは、夫はただお酒に逃げているだけだと思っていた。嫌な現実から逃れる為にお酒に溺れていろいろとやらかし、家族や会社、周りの人達に散々迷惑をかけて来た夫。泥酔による失敗で警察沙汰になった時、もう次は許せないから今後飲酒したら離婚という誓約書を書いていたのに、隠れて飲酒していた。そして飲酒運転事故まで起こして入院…。でもそのお陰で、アルコール依存症を認める流れになった。
周りからも、アルコール依存症の無職の夫となんか早く別れた方がいいと言われた。
「アルコール依存症の無職の夫」…
文字にするとパンチがあるなぁ。夫のことを知らない人は、どんなお夫を思い浮かべるのだろう。ドラマに出てくるようなDV夫かな。
こんな風になる前の夫は、ずっと真面目に工場で一生懸命働いていた。不器用で営業には絶対向かないタイプ。24年間勤務した工場が突然倒産…その後転職に苦戦して職を転々とした。元々とてもお酒が弱いのに、お酒で気分を紛らわせないとやっていられないほど追い込まれていたのだと思う。
そう、こうなる前の夫は誰よりも優しい人。いつも穏やか。虫さえ殺せない…というより虫にもきちんと優しい人。道路に出てしまっているミミズやカマキリ、カエルなどを見つけたら必ずそっと捕まえて、安全な場所に放してあげる習慣は見事。一度もスルーしたのを見たことがない。人の悪口を言わない。人を見下すことなんて絶対にしない。店員さには店員さん以上に丁寧な対応。誰にでも親切を自然に心がけている人。私は今まで、何度もその優しさに安心したり救われてきたのを思い出した。
世間で言うような立派な夫ではない。でも、学歴や肩書き、社会的地位や収入とかそういうもの全てぶっ飛ばして、人としては素晴らしい。
面会した夫はアルコールが完全に抜けていたので、本来の夫の姿を私に思い出させてくれた。
離婚…と考え始めたら涙が溢れてきた。
懐かしい暖かい思い出ばかりが蘇って来た。
私はまだ決めていなかったのだ。迷いの中にいた。そしてこのまま離婚するのか、ものすごく迷い始めた。
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