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【6】アルコール依存症治療入院中の夫の変化

夫がアルコール依存症の治療入院をして1か月、コロナ禍で面会は出来ない状況。もう離婚するんだし…という諦めと、今まで夫がやらかした事への怒りや苛立ちもあって、連絡を取る気も無く、夫からも連絡は無し。コロナ禍で家族講習も中止となり病院に行くこともなかった。1か月以上夫と会わず連絡も取らず…、こんなに離れたのは付き合っている頃から結婚してからも初めてのことだった。

治療入院して1か月と1週間が経ち、病院から面談に呼ばれた。先生からの説明などもあり、通常はもっと家族も面談があるそうだが、コロナ禍で延び延びになっていた。正直、面倒くさいなと思いながら面談に行った。

バスを降りて病院に向かうと、病院の前に夫が迎えに来てくれていた。久しぶりに会う夫は、少し照れ臭そうに待っていた。
「来てくれてありがとう。」
そう言った夫の顔は以前より日に焼けていて、何より目が輝きを取り戻していた。ハッとした。そうそう!この人こうだった!これだよ、この感じが好きだった。ああ、アルコール依存症って本当に病気なんだ!お酒が抜けていたら、昔の穏やかな懐かしい夫に戻るんだ!

その後、担当医との面談で夫がとても頑張っている様子を聞いた。出なくてもいい講習まで全部出て他の患者さんの見本になっていると。素直に嬉しかった。でもアルコール依存症の治療は2割しか成功しない。しかも治療に終わりはなく、治療し続ける、一生断酒し続けるということ。社会生活に戻るとそれがいかに困難か、その為に家族や周りの協力が必要不可欠なのだという話もされた。

違法薬物と違って、身近で簡単に手に入るアルコールは本当に厄介だ。しかもアルコール度数の高い安価なアルコール飲料はアルコール依存症を増殖させていると思う。
アルコール依存症患者の多くは、きちんと酒蔵で丁寧に造られているような思い入れのあるお酒を、味わって楽しむようなことはしていないと思う。化学物質で機械的に作られたアルコール飲料を酔う為の道具にしているだけのはずだ。少なからず夫はそうだった。昔からお酒があまり好きではなかったのに、酔う為だけに飲んでいた。安価なアルコール度数の高いアルコール飲料を。お酒はゆっくり楽しみたい私からは、とても不思議な飲み方だった。

このまま夫が断酒を続けていけるなら…前の夫のようになるのなら…もしかしたら、やり直せるかもしれない…。でも現在は、治療に成功する人は2割という確率。今は入院治療中だから断酒出来ているけど、退院したら断酒なんて無理なのでは…。そもそも夫の治療に一生付き合っていく気に今はなれない。私本当に離婚するのかな…。見放したら自暴自棄になって治療自体やめてしまいそう…。どっちにしてもこの先、生活はどうなるのか…。

そんな事を考えながら、帰りの電車に揺られていた。

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