閉鎖病棟の日々の記録③
夜になると酷い頭痛に見舞われた。となるとあの試練(>_<)、おーいがやってくる。(看護師さんを呼ぶ時は大声でおーいと言ってくださいと言われたが、ワタシはそれが恥ずかしい)
寝たまま、天井のカメラに向かってすみませぇーん!!と言ってみた。なるべく大きな声で言ってみた。しかし。
反応なし。
もっと大きなこえで、すみませぇぇぇ~ん!!!
これも反応なし。
ということはおーいなのか…ついにおーいが来たのか…と意を決して叫びました
おぉーーい…
「はいなんでしょう」
通じたぁ!なんかスピーカーから声がする
「あの、頭が割れそうに痛いのですが」
「はい、すぐ行きますね」
よかった。なんだかよくわからないけど通じた!スピーカーから看護師さんの声が聞こえてほっとしました。
看護師さんがカロナールを持ってきてくださり、また横になってほとんど朝までうんうん唸って頭痛に耐えてたような気がします。
これがおーいの試練。トゥーシャイシャイガールの私にはハードルの高い、おーいでした。
この時の頭痛はいま思うと新しいお薬の副作用で、一錠まるっと飲んだので当たり前ですが慣れるまで頭痛に見舞われるのでした。
とぅぎのひ。
朝も早よから(憶測)活動しているような、ドアの外の喧騒に目が覚め、なんだかじっとしてるのも悪いような気がして体操したりウロウロしたりしてました。
時計がないので何時か不明。
看護師さん(男性)が、朝ごはんを持ってきてくれた。
そこで奇っ怪なものを目にした、というのは冗談だけど、ものすごく興味深いものを目にした。
それが段ボールのテーブル。
正座して食べるとちょうどよいくらいの高さ。
ほほー。これ、欲しい。
ミニマリストが見たら大喜びしそうな、軽くて荷物にならない小さな段ボールテーブル。
そこに健康的かつ一汁三菜みたいなしっかりとした和食が。
なんか刑務所みたいだけどものは考えようで、わたしはこれがいいなと思った。
なぜって疲れてここに来てる。何か食べるにしても考えて用意して片付けしなきゃならない普段にくらべて、脳が休まることこの上ない。
凹凸のないこの白い部屋も、トイレットペーパーホルダーのない真実の口みたいな穴の開いたトイレも、なんだか頭を使わなくていい。
ということは神経がすり減ってたんだなぁ。
カメラの監視からくる緊張でご飯は殆ど食べられなかったものの、その後何日かわたしは寝てました。たくさんたくさん寝た。
起きてる時はとにかく何でも楽しもうと思った。
寝てる時はたまにパニックになりそうになり、祈ると気持ちが落ち着いた。
そして気づいた。
この部屋、死なせないようにできてる。それが決まりなんだ。ということは、私の意思は規則、ひいてはそれを作った法律、国に阻害された。つまり。
国は自殺を阻止しようとしている、私の命は勝手に殺しちゃならない決まりなんだ。
私の人権は私が否定しようとも、国が保護してる。
その証拠に靴下まで没収された。どうやって靴下で死ぬのかはわからないけど。
この白い部屋に禁止された。自分を傷つけること。それが部屋を見渡すとよくわかる。
だれに侵害されようと国は人権を保護している。それが法治国家。
そのことがわかって、わたしはひとつ、ここにいるわたしの権利を手に入れる感覚を得た。
これはすごい。そのことだけでも、入院してよかった。
それから何日寝ただろう。ある日ドアに手をかけると空いていた。
とぅどぅく。(続く)