アイドルに救われる徒歩22分
あの日はとてもイライラしていた。1ヶ月前から取っていた休みの日が仕事になったから。他にも仕事の辛いこと、私生活の思うように行かなさ。耐えられないイライラを抱えながら研修を一日受けて、もうライブスタートしてるのにと泣きながらサンホールまで走った。気温はまだ30度越え。汗と涙で顔面がしょっぱかった。
サンホールの奥まったあの扉を開けたら、ちょうどかりっこーがステージを降りていく時だった。
なんとか鞄からペンラを取り出して心斎橋ディアガちゃんたちに振る。何色とか決まってなくて、たしかつけたままの赤を振っていた。
だからかな。自然としゅかちゃんに目が行ったの。長い手足が凛とのびて、遠くからでも一緒に揺れ動く制服の模様たちやヘッドドレスのリボンたちまで踊ってるのがわかった。
それから歌声があんまりにも私の大好き一直線だった。伸びやかではっきりした上手なお声なのに、溶けちゃいそうな甘い残り香が。
あ!だいすき!
「君たちはゾンビバスターズだ!」
一生懸命コールした。ペンラは赤のまま。
どんどん身体中に血がめぐって、どんどん世界がキラキラしていく。ああ!とっても素敵な出会いだ!今度は感動で少し泣いたよ。
世界はこれからはじまるんだね。
あの後のチェキで、近くで喋ったしゅかちゃんは本当にアイドルだった。チェキに書いてくれる時の伏せたまつ毛、白い手に黒いペンで描いてくれた私の名前。全部一生忘れません。
初めて訪れた心斎橋ディアステの階段を降りて、扉を開いたらしゅかちゃんかいた!ていうどきどきも、「きてくれたんだ!」て言葉も、ステッカーの裏に描いてくれた似顔絵も…全部だいすき。