スローモーション骨折
おととしのお盆前のことです。
お坊さんが棚経をあげにこられるということで、掃除をしていました。
縁側から出入りされるお宅もあるそうですが、
お寺さんが代替わりされてから、
うちには玄関からいらっしゃいます。
というわけで、掃除をがんばることに。
「仏壇よし!奥の間よし!あとは玄関だ!」
わたしは年末大掃除バリに意気込んでいました。
この数ヶ月前に我が家は玄関を
リノベーションしていました。
板間が以前より広くなったんです。
昔ながらの建物です。段差がつきものですが、
すこし緩やかに設置され、誰の足元にも
優しくなり安全になっていました。
いや、安全になったはずだったんです。
玄関を入り奥の部屋へ入っていくガラス戸を
クイックルワイパーをギュンギュンに
伸ばしていちばん上からキレイに!キレイに!
そう思って腕を伸ばしもっと上へと
勢いよく踏み込んだ瞬間。
踏んだと思った板間はわたしの足の下には
ありませんでした。
広くなったといい気で踏んだ場所には
指先しか乗っていなかったのです。
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「あああ〜、おお〜ちい〜るう〜う〜う〜!」
うしろむきに落下したわたし。
あたまを守るために上半身をひねり、
体を半回転させ、腕で顔を守る体勢で
ドタタッ!と土間に打ちつけられました。
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なぜでしょうね、ピンチの瞬間ってスローモーションになるんです。
「痛いー!痛いー!立たれへんー!」
まじめに救護を求めているのですが、
なにせよくこけるわたしなので、
家族は
「はぁ、またこけとるわぁ。
だいじょうぶかぁ。」
とうすーいリアクション。
しかし、足が全く動きません。
指先だけ板場に足が残ったので
あかん方むいたなぁ。とは思ったんですが、
みるみる腫れて折れたなと確信しました。
診察結果は中足骨骨折でした。
よくこけますが、骨折したのは初めてで
自分としてはショックでした。
「固定するとお風呂とかいろいろ面倒でしょ?
この場所でこの折れ方なら固定するほどでもないけど、したい?」
と病院の先生に言われ、
「なんだぁ、大したことなかった。」
とすこしホッとしていました。
「しなくていいのならしません。」
と固定せずに帰ってきたのもつかの間、
ぱっと見、普段とかわらない姿でいるので
ただお盆やすみでくつろいでいるの人のように
思われ、いたわりもほどほどなので、
「こんなことなら固定でも松葉杖でも見た目を大げさにしてもらってちやほや世話をやいてほしかった!」
と狡猾な悪魔みーみが頭のはしっこで
くやしがっていました。
まぁ、いつまでも若いと思ってないで
相応にむちゃは辞めときましょうね。
という教訓にでもしておきましょう。
ところで、ピンチの瞬間にスローモーションになる事については研究がなされているそうです。
高校生の頃にも急ブレーキをかけて自転車と共に
数メートルふっとんだときもスローモーションになったことがあったんで、アレなにかなぁって
気になってたんです。
これを『タキサイキア現象』というそうです。
研究によってスローモーションに視える
ことも確認されているそうですよ。
経験したことあるよ。
っていう方はもしよろしければ読んでみてください。
わたしは興味深くておもしろかったです。
危険から身を守る瞬間に身体が反応し、
瞬時に起こす現象ってすごいなぁ。って、
人間ってよくできてるなぁ。って。
まぁ、経験せずに危ない思いしなくていいのが
いちばんいいんですけどね。