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オルタナティブスクール見聞録⑤~美術の時間~
それは昔、長男がまだ小学校に行っていたころ、算数とか国語はキライだけれど、図工の時間はわりと好きだと言っていたことがあります。
ならば図工だけなら小学校でもいいのかと聞いてみたところ
いや、オルタナティブスクールの美術に慣れちゃったからそれは無理
と言われた。
どうも学校の図工とはまた異なるらしい。確かに持って返ってくる作品を見せてもらうと、これはこういうコンセプトだったのだろうか?と首をかしげるような長男ワールド全開のものばかり。
というわけで今回は美術の時間(正しくは臨床美術だそうです)の時間を見学させていただきました。
臨床美術とはどういう意味なんだろうと調べてみると
脳の活性と心の解放を促し
子どもの感性をのばしたり
自己肯定感を上げたり
クリエイティブシンキングに効果が高い
というものだそうで、とても気になります。
今回のお題はチューリップ。
まずティッシュをまるめたものに絵の具をつけて花の形をつくる。そのあと茎を描き、茎に色をつけ、その後に花に色をつけていく、と段階にわけて講師の先生が進めてくださるので、子どもたちはとてもやりやすそうだった。
うちの次男なんかは絵が苦手で好きな動物を描きましょう、とか言われるとミーアキャットがチンアナゴみたいになってしまうのだけど、こんな風だときっと楽しいだろうなと思う。
そしてうすうすわかってはいたのだけど自由度が高い。
チューリップというお題は一応あるけれど、描いているうちにお題からそれてしまっても全然OKらしい。
長男なんて最初の段階(ティッシュで花の形をつくりましょう)から脱線し、早くも花じゃなくなっていた。茎の部分は集合住宅を描いているし。
他の子たち、特に低学年の子たちも先生の言う通りに進めているのだけれど、夢中になって描いているうちにある段階で自分ワールドになっていくのが見ていてとてもおもしろい。
高学年の女の子たちはさすがにお題に沿ってチューリップなのだけど、それぞれに自分の思い描いた色を出そうと試行錯誤している。そして思いどおりにいかずに挫折があったりする。
これはもしかして臨床美術というのは、無意識に自分の潜在意識に潜ることができるものなのかもしれない。
自分がどんなものを描きたいのか、どんな色が出したいのか、どんなものが好きなのか、段階を通してだんだんわかってくる感じ。
だから心の解放を促し、感性をのばすのか!
最後に講師の先生がみんなの絵を並べて感想を言ってくれるのだけど、それぞれのワールドをとても誉めてくださっていた。
だから自己肯定感が上がるのか!
と納得したスクールの美術の時間は、きっと自分の世界を描ける時間になっているのだろう。