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麻酔は臨死体験に近い(プレート除去手術しました)
この人生、全身麻酔を5回体験した。
一回目は盲腸で。
二回目は半月板損傷の手術。
三回目が帝王切開。
四回目はまたまた膝の手術(骨切り)
そして記念すべき?五回目がその骨切り術で体内に残したプレートを一年後にはずすというものです。
自分では多いと思うのですが、どうなんでしょう?
夫さんなんかは一度も麻酔手術をしたことがないというので、まあ多いほうなのかもしれない。
先日取りに行ってきたんです。
そのプレートを。
手術といっても前回の地獄の骨切りと比べたら
一日で退院できるし松葉杖なしで歩いて帰ってこれるし、そんなに気負うこともなかったのですがワタクシどうにも苦手なんです。
あの麻酔というものが。
眠らされたら最後、目覚めなかったらどうしよう?と思っちゃう。
そのまま意識がなくなったらどうしようと不安なのだ。
若いころはそんなことなかったのに、年をとるにつれて恐怖が増してきてしまったのは、きっと今が幸せなのでしょう(うんうん)
今回麻酔をしてくださったのは、前回と同じおじいちゃんの麻酔科医さんで
前はどうでしたか?
と聞かれ
すごく気持ちよく眠れました
と答えたらとても嬉しそうだった。
当日は朝から絶食で
夏バテで昨日の夜あまり食べれなかったワタシはものすごくお腹がすいていた。グーグー腹を鳴らしながら部屋に案内され説明を受けると
なんと手術は2時からだという。お昼ごはんも抜きだ。
夕御飯は?夕御飯はでますかね?
というワタシの問いに看護士さんは申し訳なさそうに
ええ、術後は胃がうまく動いていれば食べられるということなんですけど、もしあまり食べられないということであれば、売店で軽食を買っていただいて・・・・
人に作ってもらうことに飢えていた夏休み中の主婦は
食べます!
夕飯!出してください!
とくいぎみに返事した。
やがて手術の時間となり、看護士さんに連れられ点滴のスタンドをガラガラ引いていく。
前回は結構な手術だったので
不安なんですう、と訴えることができたけれど
今回はプレートを抜くだけなので、そんなに騒ぐのも恥ずかしい気がして黙っていたけれど
後に
緊張しておられましたねえ
と看護士さんに言われたのできっと不安はダダ漏れていたのだろう。
麻酔科のおじいちゃん先生がじゃあ麻酔いれますねえ
と言った瞬間天井がグルグルした。
え?いくらなんでも早すぎない?
絶対言う前に少量流してたんじゃない?
あの天井が回るんですけど?
ああぽわーんとするんですね、という先生の言葉だけ覚えている。
モモムギさん、モモムギさん
いやまだ寝ていたい。昨日も暑くて寝不足だったのもう少しだけ・・・
モモムギさん!
と呼ばれてはっとした。
一瞬の間に40分が経過していてびっくりした。
今回も無事幽体離脱もせず麻酔から覚めたワタシは思う。
麻酔って臨死体験に近いんじゃないだろうか。
あの目覚めないかもしれないと思いながら眠らされる感じは、多少なりとも死を意識させるし、目が覚めた時は生を強く実感する。だんだんと痛みがでてくるのでなおさらに。
ああ痛い。でも戻ってこれた。またみんなと暮らせるこの世界に。
そして臨死体験のあとワタシの前には必ずといっていいほど天使が現れる。
大部屋の隣人がなぜか毎回素晴らしい人たちなのである。
前回は二人の高校生がいるマダムと小さいお孫さんがいるマダムと一緒だった。
趣味のバレーボールにうちこむカッコいいマダムと
娘さんとめっちゃ仲がいい可愛いマダムにワタシはとてもお世話になった。
ああ、ワタシもこどもたちが大きくなってからもこんな風にかっこよく、かつ可愛くありたいものだと思った。
そして今回は6人もお孫さんがいるという、おばあちゃまと一緒だった。
彼女は自分だって人工関節を入れる手術をして辛いだろうに、たくさんワタシをはげましてくださった。
ワタシの母と同じくらいなのに、LINEを使いこなしお盆には家族全員で集まれるのを楽しみにしていたおばあちゃま。
きっとみんなに慕われているのだろう。
ああワタシもいつかこんな風に素敵なおばあちゃまになれるだろうか?
病室の窓には夏の空。
もどってきた現実の世界。
まだまだ続く夏休みにうんざりしながら、ワタシは戻ってこれたことを見えない何かに感謝した。