見出し画像

遺産分割の3つのやり方

 遺産分割についてはこれまでもお話してきましたが、今回は遺産分割には3つの方法があるというお話をしていこうと思います。

☆ご興味あればこちらも併せてお読みください

さて、遺産分割をする場合に、実際に被相続人が遺した財産をある程度キッチリ各相続人が不公平なく分けることができるのであれば問題ないのですが、財産状況・種類によっては必ずしもそうはいきません。

「現物分割」

例えば、被相続人の財産が預貯金、不動産、株式などの有価証券であった場合に、妻が不動産、長男が預貯金、次男が株式などの有価証券といった具合に実際に存在する財産を形や種類を変えないままで分割する方法を「現物分割」といいます。現物分割の場合には、財産の価値がそれぞれ違うためなかなか公平に分けることが難しいのがポイントといえるでしょう。ですから、この形式の遺産分割方法は、例えば相続人間の仲が良く、子供たちが配偶者に遺産を譲るようなケースなどに利用されます。

「換価分割」

被相続人の財産が、不動産と預貯金がほんの少しといったような場合には、上記の「現物分割」で配偶者にすべてを譲るなどの方法が取れないとすると、不動産は現物で分けることができませんから、不動産名義を相続人で共有名義にするしかないことになります。しかし、これでは権利関係がややこしくなります。そこで利用されるのが「換価分割」です。被相続人が遺した不動産に今後誰も住まないようなケースでは、これを売却して得られた売買代金を各相続人に分配するのがもっとも不公平のない分け方になります。ただし、相続人全員の名義にしてから売却するとなると、売買契約から代金決済の手続きまで全員が関与しなければならないため、実際には便宜上相続人のうちの1人の名義に相続登記をして売却していく方法がとられます。この場合には、遺産分割協議書に相続人の1人が不動産名義を取得したのちに売却し、売買代金から必要経費を差し引いて各相続人に分割する旨の内容を記載しておきます。

「代償分割」

上記の「換価分割」のケースで、例えば配偶者が引き続きその不動産に住みたいというような場合にはどうでしょうか。その場合には売却することができませんから、換価分割の方法は採用できないことになります。そこで、そのような場合には不動産を配偶者が取得する代わりに、配偶者の私財の中から他の相続人が得るはずであった不動産の価値分の金銭を支払うことによって解決するという方法です。ただし、この方法は他の相続人に支払う財産を所持していない場合には採用することができませんから、ハードルが高いといえるのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?