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「親族」ってどこまでが親族なの


親族には定義が存在する

「親族」という言葉をよく使いますね。「親戚」といえばもう少し広い範囲のイメージで使われたりはしますが、「親族」っていうのは、その範囲が民法でちゃんと定義されているんですよ。

前提知識として

まず、用語解説として、「親等」というものを説明いたしますね。
例えば、「4親等の親族」などという場合、どこまでが4親等なのかご存じでしょうか?
では、簡単な数え方をお伝えします。

ここで少しクイズ!①

【例題】Aさんと弟のBさんは何親等?
①AさんからBさんとの一番近い共通の先祖までを数えます。
⇒一般的には父母ですね。(ここでカウント1をします)
②その父母から、Bさんまで降りてきます。(ここでカウント1をします)

【答え】①+②=2なので、兄弟姉妹の場合は2親等です。

クイズ!②

もう1つやってみましょう。
【例題】AさんといとこのDさんは何親等?
①AさんからDさんとの一番近い共通の先祖までを数えます。
⇒AさんからAさんの父(母)(カウント1)⇒父(母)から祖父母(カウント1)計2カウント
(いとこの場合は、共通の先祖は祖父母までさかのぼりますので、この段階で2カウント必要ですね)
②祖父母からDさんまで降りてきます。
⇒祖父母からDさんの父(母)(カウント1)⇒Dさんの父(母)からDさん(カウント1)計2カウント

【答え】①+②=4親等

本題の「親族」の話

さて、このように数える親等ですが、ここで本題。「親族とは?」
民法にはこのように記載されています。

≪民法第725条≫
次に掲げる者は、親族とする。
一  六親等内の血族
二  配偶者
三  三親等内の姻族

配偶者には親等がなくゼロとしてカウントします。
ここで、もう一つ用語解説が必要ですね。「血族」とは血のつながりのある人、「姻族」とは血のつながりのない人です。
例えば、自分の父親の弟(つまり、叔父さん)は、3親等です。そして、叔父さんは血がつながっていますから「3親等の血族」となります。では、その叔父さんの配偶者(叔母さん)はどうでしょう?血がつながっていませんよね。ですから、このような関係を「姻族」といい、この場合の叔母さんは「3親等の姻族」となります。
※「姻族」・・・血族の配偶者または配偶者の血族

とういうことは、「6親等内の血族」または「3親等内の姻族」であれば法律上「親族」と定義されるのです。

ちなみに、親族間で結婚はできると思いますか?

ちなみに、親族間で結婚ってできると思いますか?
親族間での婚姻禁止は、
①直系血族
②3親等内の傍系血族

直系というのは、縦のラインで親子などです。ここは、親等に関係なくダメです。
傍系とは、横のラインで兄弟姉妹・叔父叔母・いとこなどです。ここは、3親等内の血族までしか禁止されていません。3親等内の傍系血族とは、「叔父叔母」です。ということは、その下のいとこ(4親等の傍系血族)同士であれば、法律上結婚が認められているということですね。

養子の場合は認められる

ただし、養子(普通養子縁組)の場合は少し異なります。養子の場合は「法定血族」といって、法律上の血族関係が生じるのですね。例えば、ある夫婦の養子になったとします。その夫婦には実子がいた場合には、法律上兄弟(姉妹)となるわけですね。ところが、この場合にはこの兄弟姉妹間での婚姻は禁止されません。2親等内の血族とはなりますが、認められています。

なぜ近親婚が禁止されているのか


この近親間での婚姻が禁止されるのは、2つ理由があり1つは「生物学上の問題」もう1つは「倫理上の問題」といわれています。血のつながりの濃いもの同士の婚姻を認めると、その間に生まれた子供に生物学上の影響がある可能性が示唆されていたことがあります。また、普通養子縁組でたとえ血のつながりがないとしても、親子間の婚姻を認めるのは倫理上の問題があります。そのようなことから養子と実子である兄弟姉妹の婚姻は認められます。

最近では少なくなっているかもしれませんが、婚姻する際に婚姻相手の両親と養子縁組をして、戸籍上夫婦であると同時に兄弟姉妹の関係になることもよくあります。

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