戸籍謄本の集め方
相続の手続きをする際にはまず亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・原戸籍謄本をすべて集めることから始めます。
ここで、戸籍の種類についての呼び名を整理しておきます。
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・「除籍謄本」・・・・その戸籍に誰もいなくなったので閉鎖されたもの
・「原戸籍謄本」・・・・法改正により新たな様式にバージョンアップ
されたことによって、これまでの様式のものが
閉鎖された場合の最後のもの
・「戸籍謄本」・・・・その戸籍に入っているどなたかがご存命で、
その戸籍が未だに有効であるもの
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ここではこれらを総称して「戸籍」と呼ぶことにします。戸籍を集める場合に必要な情報は「本籍地」です。
本籍地は、住所とは異なります。まったく縁もゆかりもないような場所であっても本籍地とすることができます。例えば、国会議事堂や東京ドームの所在地を本籍地とすることもできます。
人は生まれると基本的に親の戸籍に入ります。現在は3世代が同じ戸籍に入ることはできませんから、祖父母の戸籍に入ることはありません。(昭和23年の法改正までは3世代の戸籍が認められていました。)
その後結婚や親の転籍(別の本籍地に移動すること)、法律の様式のバージョンアップなどにより戸籍がつくりかえられることになります。
出生から死亡までを集めるというのは、この一生のうちに何回か作り変えられた戸籍をすべて集めるということを指します。最後の戸籍を見れば「生年月日」と「死亡日」が記載されていますが、それは出生から死亡までを証明することにはなりません。
では、出生から死亡までの戸籍をすべて取寄せることで何を証明するのかというと、「相続人が誰なのか」を証明するのです。
戸籍は作り変えられた場合、それ以前にその戸籍を出た人の情報は新しい戸籍には持ち越しされません。つまり、一部の戸籍を見ても相続人のすべてを証明することはできないのです。何度もつくりかえられている方の戸籍を収集するとかなりの分量になることがあります。
さて、このように戸籍を取り寄せるには戸籍が作られた際の「本籍地」を知らなければなりませんが、もしいずれもわからないのであれば “住民票の除票を本籍地入りで取得してみる” のです。
住民票の除票とは、被相続人の最後の住民票です。おそらく、最後の住所地ぐらいはわかることが多いともいますので、その管轄の役所で住民票の除票を請求し、請求する際に本籍地入りで発行してもらうことで、最後の本籍地がどこなのかがわかります。
それをもとに最後の戸籍を取り寄せると、そこに「年月日○○県○○市○○町○○番地より転籍」などと書かれていますから、今度はそこの役所に請求するのです。それを出生時までさかのぼって行うことで出生から死亡までを集めることができます。
本籍地がある管轄の役所に行くかまたは郵送によって請求しますが、このような作業は実際には慣れていない方にとってはかなり負担です。
司法書士などの法律実務資格者は、その依頼された業務に必要な範囲内に限り職権で代わりに戸籍を集めることができますので、通常は全部依頼される方が多いのです。
上記で解説した内容が基本ですが、令和6年3月1日に管轄の異なる戸籍であっても、最寄りの役所ですべて請求することができるという新しい法律が施行されました。
これについては、上記の資格者による職権請求は認められませんから、実際にご自身でお住まいの役所などに行っていただいて集めていただくことになります。
また、兄弟姉妹の関係にある方の戸籍は請求できないようです。現実的にはこの作業は各役所でかなり大変そうですので、今後の動向を見守っていくほかないと考えています。
ご興味のある方はこちらの法務省の案内をお読みください。
法務省:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行) (moj.go.jp)
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