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過払い金ってどんなもの?


平成20年ごろから数年にわたって、弁護士事務所や司法書士事務所が「過払い金を取り戻しましょう!」といった宣伝広告をしているのをたくさん見かけられたのではないでしょうか?
現在でもまだ広告を行っている事務所はわずかにありますが、ほとんどしていません。

そもそも過払いとは?なぜ最近は広告が少ないの?

そこで、今回は「そもそも過払いって何だったの?」という疑問や「今はどうして広告をほとんど見かけないの?」という疑問にお答えしていきたいと思います。

利息制限法

お金の貸し借りに伴う利息は契約で自由に決められるのですが、「利息制限法」という法律で上限が決まっています。元本が10万円未満の場合は年20%、10万円以上100万円未満の場合は年18%、100万円以上の場合は15%となっています。

出資法

ところが、これとは別に「出資法」という法律の中で上限金利を年29.2%とし、これ以上の金利で契約した場合を刑事罰(5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、または併科)としていました。この規定があることによって、当時の貸金業者は「出資法」の年利29.2%ギリギリまでの利息を定めて契約していたのですね。

利息制限法の上限金利を超える金利は無効とはされていましたが、「貸金業法」という法律の中に、上限を超える利息を有効な弁済とみなす場合の条件が規定されていました。
その内容が
①債務者が利息として金銭を任意に支払ったこと
②貸主が借主に対し貸付けの契約締結後、遅滞なく同法17条所定の事項を明記した書面(契約書)を交付したこと
③貸主が借主に対し弁済の都度直ちに同法18条所定の事項を記載した受取証書(受領書)を交付したこと
④出資法に違反しないこと

要するに、「契約書が作成されていて、債務者が任意に払った利息であって、支払ったときに都度領収書を交付していたのであれば、出資法の上限(29.2%)を違反していない限りはOKとしよう」というようなものですね。

利息の上限が利息制限法に統一された

結局のところ、理屈はいろいろついてはいるものの、2つの法律で上限が違っていたわけですが、この点において裁判で争われた結果、出資法の年利29.2%を利息制限法に統一することになったわけです。それが平成18年の話でした。

グレーゾーン金利を取り戻す流れに

 そうなれば、これまで高い金利を支払ってきた債務者さんたちがこのことを知れば、〝今まで払いすぎた分を取り戻したい”ということになりますよね。つまり、利息制限法(15%~20%)と出資法(29.2%)の差額ですね。これを俗に「グレーゾーン金利」と呼んでいました。

 もちろん、一般の債務者さんはそのようなことが起こっているなど知らないわけですから、多くの弁護士や司法書士が「払いすぎた分を取り戻しましょう」と広告を始めたのです。だんだんこのことが日本全国に広まり、これまで支払ってきた債務者さんたちが取り戻し請求をし始めたというわけです。

 そうなると、貸金業者としてはたまったものではなく、倒産する会社も次々に出てきました。そして、過払い請求はさらに加速していきました。

過払い請求は最後の取引から10年

 過払い請求をする権利は、最後の取引から10年経過すると時効により消滅します。借金を完済した後でも過払い請求はできましたが、一時のブームの影響でその権利もみなさん行使してしまいましたから、15年以上経過した現在ではほとんど過払い金請求権を持っている人はいないのですね。また、遅くとも平成20年にはどの貸金業者も金利を利息制限法に統一しましたから、それ以降新たに過払い金が発生することもなくなったというわけです。

 すごく簡単に説明しましたが、現在ではほとんど過払い金請求の宣伝広告をしている弁護士や司法書士がいないことがおわかりいただけたでしょうか。

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