常世の国から⑥
「かたかたなる」
両親が家を建てたというので帰省したときのことです。
僕は20代後半くらいだったと思います。
親父は四人兄弟で、男、男、女、そして親父。つまり末子。
おじさんたちは皆、婿養子になったり、遠くの親戚の後を継いで出て行ってます。
ところがそれだけではなく、僕からみて祖父、曽祖父と全て末子が後を継いでいるのです。その呪縛のような因縁でこのあといろんなことが起きました。
それも、のちのちお話しします。
すみませんあまりにも不思議が多い人生なもので……。
親父は先日亡くなりましたが、親父からみて叔母、父親、血の繋がってない母親、妻、妻の血の繋がってない母親、そして兄、僕、妹。そして一時期は姉、姉の夫、その子供三人の十三人をひとりで養っていました。
全てにおいて、どこを切り取っても素敵で尊敬する人物です。
その親父が家を建てたのは、大叔母の遺産。
大叔母はアメリカのコーヒー農場に嫁ぎ、戦後に戻って来たときいてます。
大叔母は93歳で亡くなりましたが、パリ万国博も行ったそうです。
なにやら物語の人物設定のような人々ばかりでした。
話しを元に戻します。
新しく建てた家は、日本の昔からある木造の古いつくりの家です。
でも広々していて気持ちいい感じです。
着いてそのまま畳でこたつのある居間に落ち着きました。
そのとき
「カタカタカタカタ……」
なに?これ?地震?
みんな周りを見渡しましたが、部屋の蛍光灯も揺れていません。
しばらくすると音は止みました。
思わず
「隣の部屋仏壇ある?」
そういって襖を開けると…仏壇があったのです。
僕はお線香を上げて帰省の報告をしました。
そのあと遊びにきた建築関係の友達に話すと「新築の家でよくある」ということでした。
それは先祖が僕の帰省を喜んでいるんだそうです。
ひのたろう
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?