雪女の約束なんて…!?
登場人物
• 雪女(ゆきおんな): 美しく神秘的だが、感情が豊かでちょっとお茶目。
• 健太(けんた): 遭難した軽いノリの青年。約束を破るトラブルメーカー。
• ナレーション: 情景やキャラの心情を説明する語り手。
. 村人A
. 村人B
(吹雪の音が鳴り響く)
ナレーション:
山で迷い込んだ健太は、助けを求めるも道に迷い、ついに力尽きようとしていた。
健太: (震えながら)ああ、死ぬ…もう終わりだ…。寒い…。カップラーメンが最後に食べたかった…!
(吹雪の中から足音が近づく)
雪女: (冷たく美しい声)あなた、ここで凍え死ぬ運命だったのね。でも、助けてもいいわよ。
健太: (驚いて)えっ、美人だ!いや、助けてください!お願いします!
雪女: 条件があるわ。私の存在を誰にも話さないこと。それが約束よ。破ったら…どうなるか分かっているわね?
健太: (軽いノリで)わかりました!口は固いタイプですから!秘密主義のプロです!
雪女: (疑いながら)……本当かしら。まぁ、いいわ。
健太: (笑顔で)心配ご無用!絶対言いません!
(雪女が手をかざし、吹雪が静まり、暖かな空気に包まれる)
健太: (元気になりながら)わー!ありがとう、女神様!いや、雪の女神!えっと、なんて呼べばいいんですか?
雪女: (少し笑いながら)ただの雪女よ。名前は気にしなくていいわ。
(数日後、村の居酒屋のざわめき)
ナレーション:
無事に山を下りた健太。しかし、約束のことはすっかり忘れていた。村の居酒屋で、あっけらかんと喋り始める。
健太: (自慢げに)いやぁー、山で死ぬかと思ったけど、超美人が助けてくれたんだよ!雪女とか言ってさ、ほんと綺麗だった!
村人A: (驚きながら)えっ、雪女!? それ、本当かよ!?
村人B: そんなの迷信だろ!
健太: (調子に乗って)いやいや、マジだって!俺、モテるから雪女も俺に惚れたんだよ、たぶん。
村人A: それ、モテてるんじゃなくて、ただ凍えかけただけだろ!
(突然、店内の温度が急激に下がる)
雪女: (冷たく怒りながら登場)けーーんーーたぁ!ごごごごごごごごおーーーーー
健太: (驚き)あっ…!あ、あれ?雪女さん?いや、どうしてここに…?
雪女: (ピキピキと凍りつく声で)私の存在を誰にも話さないって、約束したわよね?
健太: (必死にごまかしながら)いやいや、ちょっとした冗談!ジョークです!だれも信じてないし!
雪女: そういう問題じゃないから!約束、破ったわね…!人間の世界でこんなに早く破る人、初めて見たわ!
健太: (必死に)ち、違うんです!話したんじゃなくて、ちょっと…その…盛り上がっちゃって!
雪女: (冷たい笑みで)盛り上がった結果がこれなのね…。
(居酒屋が凍りつく音)
ナレーション:
雪女の怒りが爆発し、居酒屋全体が冷凍庫のようになった。
雪女: 罰として…今からあなたに“特別な任務”を与えるわ。
健太: (ビクビクしながら)特別な任務…?それ、命とか大丈夫ですか?
健太: (土下座しながら)すみません!もう二度と言いません!もう誰にも話さないから、許してください!
雪女: (ため息をつきながら)……まったく、どうして人間ってこう軽々しく約束を破るのかしら。
雪女: じゃあ、罰として……。
健太: (ビクビクしながら)な、何をする気だ…?
雪女: (楽しそうに)雪国のしきたりで、本当は貴方を氷らせる所だけど、今は雪の国は人手不足なので、これから雪の国で働いてもらいます。
健太: えっ、それだけ?美人の雪女と一緒にいられるんですね!ルンルン🎶
雪女: (冷たい笑顔で)簡単だと思った?人間の世界と違って、雪の国での手伝いは厳しいわよ。毎朝雪かき、遭難者の救助、それに雪だるま作りもあるわよ!後は雪合戦の特訓もあるのよ。
健太: (青ざめながら)……えっ、雪だるま?雪合戦?なんにそれ?
雪女: 遊びじゃないからね。雪だるまは山の守り神よ。それぐらい知らないの?雪合戦は体力づくりには欠かせないのよ!それに大会もあるからね。
健太: 大会?
雪女: そうよ!雪だるまは、誰が立派な雪だるまを作れるか競うのよ!雪合戦は隣の街の雪の国と競うのよ!
健太: (泣きべそかきながら)まじか💦そんなんじゃ凍らされた方がマシかも!
村人A: (茶化しながら)おいおい健太、罰ゲームでいい思い出作れよ!
村人B: こりゃ見ものだな!
健太: (村人に向かって)笑ってる場合じゃないから!俺、本当に死ぬかも!
雪女: (健太が唖然としながら、雪女に連れて行かれる音)ごごごごごごごごーーーーー!
ナレーション:
こうして健太は、雪女の助手として山での修行生活を始めた。軽い気持ちで約束を破った代償は、彼にとって予想外に厳しいものだったが…。やがて彼は、雪女の優しさと山の秘密に触れ、少しずつ成長していくのだった。
健太: (遠くで叫ぶ声)雪女さーん!雪だるま作りもう勘弁してくださいー!雪だるまが崩れるー!やばい、寒いし!誰か助けてくれー!
雪女: (冷静に)どう、楽しい?
健太: (怒りながら)楽しいわけないじゃないか!こんな罰聞いたことない…。俺、ただの村人なのに…。
雪女: (笑いながら)ほら、手を止めないの!
その内寒さも感じなくなりますよ!ふふふふ。
ナレーション:
春の訪れとともに、思わぬ事態が訪れる――。
村人B: 大変だ!山から雪崩が起きそうだってさ!
村人A: 雪崩!? こんな時期に?どうなってんだ、山の神様の機嫌でも悪いのか?
(雪女が村の異変に気づく)
雪女: (ため息をつきながら)まったく…。雪崩のことだけど、ちょっと厄介ね。
健太: えっ、雪崩?それヤバいじゃん!
雪女: はいはい、驚くのは後にして。雪崩を止めるわよ!
健太: (おどおどしながら)え、俺も手伝う感じですか…?
雪女: もちろんよ。あなたも手伝うのよ!その為に今まで私の所で修行してきたのだから!
(山のふもとで、村人たちと雪女が作業を始める音)
雪女: (冷静に)健太、貴方が今まで作ってきた雪だるまを並べて壁を作って雪崩を止めるわよ!
健太: えっ!その為に雪だるまの特訓を……任せて!
健太: うわっ、待って待って!こんなに重いなんて聞いてない!
雪女: (笑いをこらえながら)本当に手のかかる人ね。ほら、手を貸すわ。
村人A: (感心して)すげえ…。雪女様って、頼りになるな…。
村人B: (ぼそっと)でも、健太はもうちょっと頼りになってほしいな…。
健太: (小声で)聞こえてるから!
ナレーション:
雪崩を無事に防ぎ、村は平穏を取り戻した。雪女は静かに健太の元を訪れる。
雪女: よく頑張ったわね。少しは成長したみたいね。
健太: (照れながら)まあ、俺もやればできるってことだよね!…あれ、ちょっと感動してる?
雪女: 調子に乗らないの!これからは、健太は村に戻って村を守っていきなさい!
雪女: (静かな声で)健太。今夜で、私はこの山を去るわ。
健太: (驚いて)えっ!? どうして!? 村だって助けたし、もうどこにも行かなくていいんじゃないの?
雪女: 私は雪女。人間の世界に長く留まることはできないの。これ以上ここにいれば、私はただの雪となって消えてしまうわ。
健太: (必死に)そんな…そんなの嫌だ!俺、もっと君と話したかったし…
雪女: (微笑みながら)健太、あなたは本当に不思議な人ね。いつも騒がしくて、危なっかしくて。でも、一緒にいると少しだけ温かい気持ちになれる。
健太: (目をそらしながら)それ、褒めてるのかバカにしてるのか、どっちなんだよ…。
雪女: ふふ、褒めてるわ。たぶん、ね。
健太: 俺…君に助けてもらってばかりだったけど、次は俺が君を助けたい。たとえ雪女でも、俺は…その…好きなんだ。
雪女: (驚きながらも優しく微笑む)ありがとう、健太。でも、それは叶わないわ。人間と雪女では、共にいることはできない。
健太: (少し涙ぐんで)そんなの…おかしいよ…。
雪女: さようなら、健太。あなたのこと、忘れないわ。
ナレーション: あれから数年。健太は村で変わらぬ日々を送りながらも、心のどこかで雪女との再会を信じていた。
健太: (独り言で)元気でいるか?またいつか、山に遊びに来てくれよな…。
(ふと風が吹き、遠くから彼の名前を呼ぶような声が聞こえる。)
雪女の声: (微かに)健太…。
健太: (立ち止まり、振り返りながら)…雪女?
ナレーション: 雪女の姿はもう見えない。しかし、彼女との約束は、健太の心の中で輝き続けている――永遠に。
と思っていたのだが……1年後
健太: (震えながら)ああ、死ぬ…もう終わりだ…。寒い…。おにぎりが最後に食べたかった…!
終わり