叱るのではなく聴くということ
臨床心理士の村中直人さんは
「叱る」とは叱る側が求める「あるべき姿」や「してほしいこと」を実現するための手段だと述べています。
よく「怒る」は自分のためで「叱る」は相手のためだという言葉を聞くことがあります。
叱り方の本などもたくさんありますし
怒らないための方法というアンガーマネジメントの本もたくさんあります。
親御さんの話を聞いていると、叱り方に悩む人はたくさんいますし、実際に子どもコーチングをやっていても、コーチ側の「あるべき姿」や「してほしいこと」を子どもに無意識に強要してしまうアプローチを研修期間にたくさん見かけてはフィードバックをしています。
子どもコーチングでは、まず何よりも子どもの言語化能力にアプローチします。
1週間であった出来事を話し、その時自分が何を感じたのか?それはなぜなのか?自分の感情が動いた瞬間はいつで、それはどんな価値観に基づいているのか?をひたすらコーチが聴いて子どもが答えます。
もちろん初めたての頃は子どもは言葉に詰まります。「わからない」「なんとなく」という回答が多いのですが、
毎週のように質問を続けると子どもが自分の言葉で自分の感じたことを話せるようになってきます。
とある子どもと話していて、印象的だったことがあります。
「親に怒られた時に全然親が言っていることに納得できなかったけれど、そのモヤモヤをうまく自分で言葉にできなかった。だからその時はグッと我慢して、怒られて反省したフリをしていた。」というものでした。
言語化能力の低い子どもは保守的になるというデータがあります。大人の価値観からすると理解できない言動を子どもがして「なんでそんなことするの!」と怒った時に、子どもは自分なりの動機があってその言動に至ったはずなのに、その動機をうまく説明できなくて黙ります。
親は親の価値観で叱ります。
こういうやりとりが繰り返されると、子どもは「怒られるから余計なことはしないようにしよう」となっていきます。
本来子どもが好奇心に忠実に生きて、うまくいったり、うまくいかなかったりという体験を通じて学習して成長していくのに、余計なことをしたら怒られるから、、と好奇心に蓋をしてしまいます。
だからこそ、子どもコーチングでは子どもの言語化能力にまず焦点を当てます。
大人の価値観から見れば幼稚で、正義に反する、人に迷惑をかけるダメな言動も、子どもは子どもなりの考えがあることがほとんどです。
だからこそ、何をしていたのか?何を考えていたのか?をじっと聴き続けると子どもは子どもで勝手に気づき始めます。
これは自分として考えが浅はかだった、、
これは人に迷惑をかけてしまったから次からはこうしてみようと思う
と別にこちらが何かを教えようとしなくても勝手に学びます。
だからこそ、叱る、教えるのではなく聴くというコミュニケーションを大切にしています。
「叱る」よりも「聴く」これをご家庭でも意識してみてください。
余裕のない毎日の中で聞くことは非常に忍耐が求められ、大変かもしれませんが、意識できる時に実践してみるだけでも子どもとの関係性が変わるかもしれません。
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