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『本日は大安なり』

『本日は大安なり』 辻村深月

先日旅行にいく際 新幹線の中で読もうかと本棚から引っ張りだしてきたのですが結局旅先では読まずじまい。
そういえば引っ張り出したままだったなと思い出し久々に読みました。


11月22日 大安
語呂合わせで「いい夫婦の日」となるめでたき日に、とある結婚式場で繰り広げられる様々な思惑を、それぞれ登場人物の視点から語られる形式の文章となっています。

例えば双子の姉妹の物語。
双子というのは普通の兄弟姉妹よりもセットに、あるいは比べて見られるものです。
お互いの事はお互いが一番わかっていて、だからこそ区別して認識してほしい。
この双子、鞠香と妃美佳は、普段は性格にかなり違いがありますが、
黙っていたり本気で相手に成りすまそうとしてしまえば親でも見分けがつかないくらいに似ています。

この話では妃美佳が結婚することになったのですが、結婚式直前に起こったある出来事をきっかけに妃美佳は鞠香を巻き込んである勝負をしかけることにします。

例えば同居していたお母さんの妹が結婚する小学生の男の子の物語。
真空は小さい頃こそ「りえちゃんと結婚する」と言っていましたが、
成長すればその気持ちは変わるもの。
でも仲のいい、大切なお姉さんです。

そのお姉さんが結婚することになるのですが、
なんだかお母さんとおばあちゃんの陰口が気になったり、
彼氏として連れこられたお兄さん、東さんは頼りない…かと思えば職場の他の女性と親密そうに話している場面を見てしまったり……。

このまま結婚してしまったら「りえちゃん」は不幸になってしまう と真空はひそかに孤軍奮闘します。


例えばプランナーの物語。
この結婚式場で働く女性プランナー山井多香子はこの日、担当してきた中でも確実に五本の指に入るややこしいお客様の結婚式を迎えていました。

準備でも幾度となく起こる問題に何度も逃げたいと悩み、いや自分のプライドまでは売り渡してなるかと踏ん張りようやく迎えた当日。
この日も朝から雲行きが怪しく、無事に披露宴を終えることはできるので
しょうか。

例えばイブニング・ウェディングを控えている新郎、鈴木陸雄。
ですがまだ早い朝の時間から大きいバッグをかかえ会場入りしている彼は
ただ準備のために早く来た、というわけではないようです。
逃げ続けた彼の、どうしようもない顛末や如何に。


個人的には双子の姉妹の話が好きです。
花嫁視点、というのが一番感情移入しやすいからでしょうか。

でも今回久々に読んでみると真空の物語が頭に残りました。
何度か読んだはずなのに結末を忘れていたせい、というのが大きな理由な
気がしますが(笑)

同居している甥視点からの、陰口のように話す母・祖母(りえちゃんからすると実姉と実母)の場面であったり、新郎の東さんがおっとりしているようで実は怖く見えてしまう一面があったり。
子供から見た大人達 という視点が今回は特に面白く読むことができました。

こう、何度同じ本を読んでも得る印象が異なるからこそ読書は面白いし、
本は手元に置いておきたい と思ってしまうんですよね。
(物理的限界がありますが…)


ここ数日読書ブームが続いており書きたい本がたまっているので
次回はできるだけ早めに投稿したいです。
が、久しく文章を書く、という事をしていなかったので推敲すると時間がかかりますね(笑)
模索しながら書き進めていこうと思います。



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