営農型太陽光制度(ソーラーシェアリング)で転用するのは敷地全体の0.03%程度であるという冗談のような話
営農型太陽光制度(ソーラーシェアリング)はその根拠となる通知「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」(制 定 平成30年5月15日30農振第78号 最終改正 令和4年3月31日3農振第2887号)で、支柱に一時転用を行うことを定めている。
この支柱を転用した場合、その面積は敷地全体の0.03%しかない、ということをご存じだろうか。一例をあげると1000㎡の土地に太陽光パネル560wの製品を180枚程度(100.8kw)置くとする。パネルは横おき4段として11列並べる44枚アレイを4セット程置くような仕様である。このような構造の場合、杭は76本程度使用する。杭の太さはφ76mm程度である。
ここから面積計算をすると転用面積は0.36平米であり、切り上げても、1000㎡に対して0.03%程度しかない。どう考えても誤差のような数値である。転用などしないで、許可を得ずに設置を許容してもよさそうな面積である。例えるなら、このような面積は、農家が農作業の前に自分のリュックサックを地べたに置いたときの面積と大差ない。
↑杭が小さすぎて見えないので拡大。
ところが実態には、この誤差のような面積を転用した結果、この0.04%に対してではなく、パネル設置の下部農地全体に対して耕作義務が生まれるのである。それもただ耕作すればよいのではなく、周囲反収の8割以上の生産性を得ることが求められるのである。それも努力義務というものではなく、「違反したら設備の撤去」ととてつもなく重い罰則が加えられるのである。
この制度には疑問が多数ある。なぜ、誤差のような面積に転用がを求めるのか、あまりに不経済ではないか、という点、なぜ転用していない箇所に対して転用したかのような耕作義務が生まれるのか、なぜ農地法にない耕作義務が指定されるのか、なぜ、技術的助言で個人の権利を制限できるのか、なぜ、公共の福祉とは別の基準で個人の経済活動を制限できるのか。
本当に不可解な制度である。