経済活動を強制する営農型太陽光(ソーラーシェアリング)

営農型太陽光(ソーラーシェアリング)の問題

前回、営農型太陽光(ソーラーシェアリング)が法的根拠を持たないという点について触れました。今回は、この制度が農地法と整合性がないという点について触れたいと思います。

営農型太陽光(ソーラーシェアリング)は農業を継続することを前提に、農地のまま太陽光設置することを認める制度です。これは一般的な野だて型太陽光が、農地法4条または5条で永久転用をして太陽光を設置する点において異なります。

ソーラーシェアリングは地方活性化の画期的な制度のように取り扱われることがありますが、これは一般的な農地の大部分が転用ができない農地であることが背景をなしています。農地法または農振用の規制を受ける農地は、食料の安定供給といった公共の福祉基準をもとに、私有財産に制限を加えることが許容されています。そのため、私有財産であっても、農業目的以外に使用できないように法律で制限が加わっています。このため、地方の高齢化により農業の担い手が不足しているにもかかわらず、農地以外に転用できないことから耕作放棄地の増大問題が地方の問題になっています。

こうした中、一般的に収益性の高い太陽光制度と組み合わせることにより農業の活性化が見込める営農型太陽光制度には期待が寄せられているのです。

では、この制度になぜ問題があるのかというと、この制度は従来の農地法との整合性を著しく欠くためです。それも、微妙に整合性を欠くというレベルではなく、明らかに、とんでもなく、とても無視できない程度に、大きく整合性を欠くのです。

まず、営農型太陽光制度(ソーラーシェアリング)の制度では、反収規制というものがあります。これは周囲の一般的な収穫量と比較して、2割以上収穫高が下回ってはいけないとするものです。罰則としては設備の撤去が明記されています。

一般的な農地で、耕作義務や収穫量指定がどのようにされているかというと、このような規制は全くありません。つまり、農地であっても耕作をする義務はないし、義務がない以上、収穫量を指定することも当然ありません。

そうすると、このような疑問が当然出てきます。一般的な農地には耕作義務がない、それなのにソーラーを設置したとたん耕作義務が生まれる、耕作義務が生まれるだけでなく、周囲の作物と比較して80%以上の生産をしなければならないという義務も生まれる。これは公平性を欠くのではないか。

このような疑問は当然のものです。実際、国の定めたルールで、経済活動を強制するもの、経済活動のパフォーマンスを指示するものは例がなく、これがこの営農型太陽光(ソーラーシェアリング)を非常に異質なものにしています。

これは他ののものに例えるならこういうことです。
例えば、工場の設置が原則禁止されているエリアがあるとして、そのようなエリアに特例として工場建設を認める。但し、その工場では必ず生産をしなければならず、生産高も同一製品の国内平均の80%以上を生産しなければならない、このような基準に適合しないものは、工場の撤去命令が出される。

いかに異質な制度であるかがよくわかります。これはまるで社会主義国の計画経済のようです。



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