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ZERO ESCAPE 3部作 9時間9人9の扉&善人シボウデス&刻のジレンマ 一気まとめ

ZERO ESCAPEシリーズは打越鋼太郎氏が手掛けた脱出ゲーム✕デスゲーム。Steamのサマーセールで3部一気に通してプレイしました。
熱いうちにシリーズを通しての伏線や考察、評価を書いていきます。
この記事はシリーズ全てのネタバレを含みます。
以下3部作を999、シボウデス、ジレンマと表記します。


総合評価

プレイヤーが驚かされる原理としては「木を隠すなら森の中」…ではなく「森を隠すなら森の中」という感じ。重要なトリックAとBが同時に進行する事があり、自分はAに夢中の間、Bの意味を捉えることができないという自体が頻発していた。非常に荒削りなシリーズだが、それを許してもいいと思えるほどの要素になっている。
最後までやった感想としては好きでもあるし嫌いでもある、自分の2つの人格が賛否両論を繰り広げている。拾われてない設定は多く、伏線厨としては最後までやってもモヤモヤが残る部分も多い。
一番思い入れがあるのはシボウデス。


シリーズ比較

没入感 999>>シボウデス>>ジレンマ
シリーズを通して、重要なシーンで魅せるべきものを魅せる力が非常に強かった。999は他シリーズよりは一本道で、どのエンディングにもフラグ管理なしで一気に物語が進む。どのルートも中盤までは曲折ありつつ進むが、バッドエンドでは徐々に不穏な雰囲気が流れ、プレイヤーのメンタルをいい意味で追い詰めつつエンドに繋がる。
ここですごく個人的な話になるが、自分の形態形成場が発達していたおかげか、初見で拷問室に入った時にメンバーの組み合わせも考えて死神のいる道に来てしまったな…と思った。

反面、シボウデスとジレンマではトゥルーエンドに行くためにほぼ全ての分岐を見なければならない=結局選択肢があろうが前後するだけじゃないかという思いがあったり、プレイヤーが納得できない理不尽なバッドエンドに気が滅入ることも多かった。

キャラクター 999≒シボウデス>>>ジレンマ
イラストレーターは最後まで西村キヌ氏で通してほしいと思っていたためこの位置づけになる。加えてジレンマは人が死ぬ前提のルールであること、チーム外とは終盤まで交流がないこともあり、プレイヤーがキャラに対して想いを寄せる事が難しかった印象。
999とシボウデスの評価はいい意味で難しい。シボウデスのほうが最終的に好きなキャラは多かった。999はデスゲームとしての個性の引き出され方がうまく、単体というよりは9人セットでいいキャラだったなと思える。

グラフィック 999>シボウデス>>>ジレンマ
999は枚数は少ないものの必要な部分でのイラストはあるのが◯。シボウデスの3Dには賛否両論あるようだが、個人的にはミニキャラっぽくて立ち絵の状態はとても愛着がある。いずれもDSだと思えば十分な完成度になっていると思う。
自分の中ではジレンマのグラフィックがダントツで一番評価が低い。テクスチャーが極端に精密な場所とそうでない部分で別れており、それに加えてポリゴン数がかなり少ないので調和が全くなく怖い。立ち絵形式でないため3Dモーションのコストが莫大になってしまい、結果として非常に動きが単調なのでシステムとしても悪かったと思う。

脱出パート 999>シボウデス=ジレンマ
自分は脱出ゲームというジャンルを普段やらないので、いまいちどれくらいの難易度であればいいゲームなのかはよくわかってない。素人目の評価ということで。
ひらめき、というよりは手順に事を進めていって少しずつ行動できる範囲が増える、というのが魅力のジャンルなのだろうか。少なくともこのシリーズではそういう印象を受けた。
ジレンマまでやった結論で、999は視点移動が固定されているのが逆に調べられる場所がわかりやすくなっている効果もあると思った。脱出パートで数字根を使うギミックがちょっと少ない気はしたが、他シリーズと比べてメモの必要が少なくカジュアルに脱出パートを遊ぶにはよかったんじゃないかと思う。
ジレンマは脱出パートがその後のディシジョンゲームに繋がる流れになっていて面白い試みだった。ただしグラフィックのせいか、調べられる箇所がわからない、わかりづらいことが多かった。特に原子炉制御室のヒーターを動かさないといけない所ではどこを調べるのかずっと迷っていた。

デスゲームのシステム 999>>>ジレンマ>シボウデス
フェアさでいえば999がダントツ。終盤では9の扉が複数ある事実から最終目標が少し濁されていたが、展開の透け防止としては妥当かなと思う。

シボウデスのルールはよく言われる事だが、初回に裏切りを選んだ時点で以降誰からも協力してもらえなくのは目に見えており、最終的に初回で裏切りを選んだキャラは最も脱出から遠くなってしまうはず。プレイヤーが裏切る時は非難され、他キャラが裏切った時はなんだかんだで有耶無耶になってしまうプレイヤーの不満をゲーム内で解消されなかったのは納得がいっていない。

ジレンマにおいては主にプレイヤー視点での考えになるが、6人死なないと脱出できない=最終的には逆に9人生存がトゥルーエンドなのではないか?という透けになってしまうプレイヤーは多いかなと思った。
別歴史のXPASSを入力できない事についてだが、これは2通りの解釈によって説明できるかなと思う。1つ目はデルタがカメラ越しにマインドハックをし、別次元から来た事を理解してペナルティを課している。2つ目はもっと簡易的な対策で、現歴史で知るはずがないXPASSを入力されたら別次元の記憶を持っているとみなしペナルティを課す、と予めプログラムしておく(これについてはXPASSが6つ公開されていない限りプレイヤーが入力できないので確認できないが)


伏線 シボウデス>>>999=ジレンマ
細かくは後ほど。
999は驚きの伏線、というよりは堅実な情報の積み重ねからのトンデモ結末一点集中で話が進んでいった感じがする。展開のハチャメチャさに対してはプレイヤーは納得感はあったんじゃないだろうか(少なくとも自分は)

シボウデス、999をやった人であればある程度の展開ならついていけるため、かなり自由なシナリオにできてよかったんじゃないかと思う。999の正統派進化という印象。

ジレンマは特大のトリックが1つだけあったものの、それ以外は特に印象がない。

伏線・考察・謎・感想雑多

AII-ICE≒アリス

自分の中で最も「やられた」と思った伏線、というかミスリード。
999プレイ済みであれば最も気になる人物のはずだ、だがシボウデスの序盤ではあまりアリス本人は喋ってくれず、第一ゲームでアリスと同行するチャンスが訪れる。そこでともに脱出し、いざ信頼を得ようと協力を押して見事に裏切られるわけだ。そして裏切った事は有耶無耶になり、何食わぬ顔で9人と行動を共にする。間違いなくシボウデスで一番最初に嫌いになったキャラだ。(ここまでがプレイヤーに対して想定された展開だと思ってるのでいい意味で掌で踊らされた感)

シグマ

アリスと同じく同率1位の伏線。
シボウデス最大のトリックで、プレイヤーが自力で気づくのは非常に難しかったと思う。
筋肉質な腕、猫語、スク水…ファイと抱き合うシーン。
伏線についても様々なものがあるが、自分としては一番の違和感はシグマにボイスがなかったことだと思う。
核心を突いてくるエンドでは逆に紛れさせてくることも。ルナENDではゴーレムであること、KENDでは自分がクローンor偽物であることの匂わせ。船長室ではシグマ=老人という発想が無い限り逆にプレイヤーはシグマ=ゼロ説を大きく否定する材料になっている。

デルタ

ジレンマの最大にして唯一のびっくり箱。叙述トリック。
匂わせが散りばめられていたとはいえ、「デルタ」という名前が出てくるまではほぼ間違いなく正体を当てる事ができない人物。
自分と同じくトライアングルで名前を入力してみた時に核心に近づいた人が多いと思う。その時点ではまだQの本名がショーン?この老人はカメラマンかなにか?程度の考察までしか行き届いてませんでした。
シボウデスの時系列でも生きている…らしいが流石に本人は死んでいて、量子コンピュータとして生き続けていると見るのが自然か。
教祖としてはあまりにもチート能力だがシフト能力はなく、自身が死ぬことも受け入れているのはどう考えるかが難しい。
ここでの殺人はしてないと言っているが、少なくともアリスの父は組織に殺されいるわけで…カルロスが打たなかったENDになった後もめんどくさくなてそう。

調べても個別にしか反応せず「9人」である事には言及されない

ディオ
ディオはいつラジカル6を投与されたのか?
ジレンマまでプレイすれば最終的にデルタはプレイヤーに協力することがわかっていたので、ラジカル6を投与したディオを送り込んだとも考えられるが、シボウデスの段階ではわからない。→最初に意識を失っている時

一般人枠
999では八代、シボウデスではクォーク、ジレンマではエリック。
最終的に全てのキャラが物語の根幹に関わっている、というわけではなく本当になんの裏もないキャラの存在は良い点だと思った。この手のゲームだと最終的にこのキャラは何をするんだろうという推理をすることになりがちだが、このキャラは無害そうだけど本当に無害だろうという推理の幅があるのが面白かった。

ルナ
物語中盤まではすごく悩んだが、最終的には信じることにした、信じてよかった。
四葉の016の遺言については、四葉がゴーレムの型番を知る由が無いとすぐ理解できたので逆にルナが黒ではないと安心してた。

K

Kルートのバッドエンドではシグマを裏切り(真ルートでも裏切る)一人脱出してしまう。茜が死んでいるルートなので中身は当然カイルだが、このルートのせいで自分はKを一切理解できなくなってしまった。後日談も当然ない。
結局カイルってなんなんですか。誰。


シボウデスでは風格あるおばあちゃんになったのにジレンマでは…と思った。999→ジレンマ→→シボウデスという時系列なのはそうなのだが、それでもカルロスに殺意100%で行く茜はどうかと思った。ジレンマで最も納得できないことの1つ。

潜水艦エンド
このエンドの存在が沈没船にいる事を疑えない要因になっていた。「潜水艦が存在する」という事実自体が重要な事ではないというのが重要だった。


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