河野裕さんについて語りたい
河野裕さんについて語ると言っても 昨日星を探した言い訳・君の名前の横顔・彗星を追うヴァンパイア の3冊しか読んだことが無いのですが… というか、語るというよりは「自分語り」に近い形になってしまいました。
河野裕さんの本との出会いは小さな奇跡みたいなものだったんじゃないかと勝手に思っています。買う本は決めた状態で行った本屋さん、ただ本を買うだけではつまらないからブラーっと文庫本のコーナーを練り歩いてました。たまたまスっと目に入ってきた文字。「昨日星を探した言い訳」あ、これだって思ったんです。素敵なタイトル、シンプルで洗練された表紙。あらすじも読まずに購入しました。本に当たりという言葉を使うのはあまりよくないと思うのですが、読み始めた瞬間「あ、これは当たりだ」と思いました。本等の創作物には作者の思想・知性・倫理観・価値観なんかが大きく関わってくると私は思います。昨日星を探した言い訳の1文1文全てが綺麗だったんです。所々含まれる哲学的な話。登場人物全員が真っ直ぐで、でも人間くさくて。本当に綺麗で。今までこんなに綺麗な文章を見たことがあっただろうか、本当に感動しました。言葉一つ一つが繊細で、でも意思がしっかりしていて、誰かを傷つけてやろうなんて考えが全くないような文。私もいつかこんな綺麗な文を残せる人間になりたいと思いました。
XやInstagramを見ていると心無い誹謗中傷を沢山見かけます。ネットという事の1面しか見れないような狭い箱の中で、自分たちで勝手に偏見なんかを持ち込んで、善悪を決めて。悪だと見なしたものには私的制裁を加えていいと勘違いをする。ネットで起きてる論争に完璧な善悪はあるのでしょうか。あの人が悪いから。皆が叩いているから。悪い人には罰が必要で、これは社会のためにやっている事だから。この世に正義は必要だから。みんな悪者を作って誰かを傷つけるけど、それは結局自分のしている誹謗中傷なんかを正当化したいだけ。私はただリアルな友達に共有するほどでは無い、ちょっとした幸せをだれかに共感してもらって欲しいだけなのに、流れてくる文章達は汚いものばかり。ネットが嫌になっていた時期に「君の名前の横顔」に出会いました。自分の言いたかったことを言葉にしてくれてるような気持ちにもなるし、私の中の倫理を明確にしてくれているかのような、今自分が欲していたものが全て乗っている教科書を読んでいるような気分でした。人として生まれてきて、文字が読めて、勉強が出来て、本を買い与えてくれる親がいて、本を好きになれて、無数の本がある中で河野裕さんの本が選べた私の人生は、どれほど素敵なものなのでしょうか。これからも河野さんの描く倫理を思考の片隅に、誠実な人間になりたいと改めて思った一日でした。
まだまだ書きたいことはありますが、眠くなってきたのでここら辺で失礼します。グダグダな文章ですが、文字におこせたことが嬉しいです。