35歳のNZ留学【飼い猫について】
私のホストファミリー
家族のひとりである猫について
猫の名はブルーイ
グレーの毛色、彼は老猫である
耳は遠く片目の視力は失った
頭にある病気のせいで度々混乱し
混乱すると
ウミャぁー〜…ぅ
ウミャぁー〜…ぅ
としばらく声をあげている
真夜中にこれをすることもあるし
明け方にすることもある
それは初めてこの家に来た時読んだ手書きの
家のルールと注意書きにも書いてあったほど
"夜は眠れないかもしれない"と
私がまだ薄暗い朝に起きていくと猫は
ソファのうえですーすー眠っていた
或いはソファの足元のマットの上に
学校から帰って家の門を開けると
大抵猫は庭にいる
ラベンダーの並をすり抜けながら
或いは小さな何かを素早く追いかけながら
初めのうち猫は
私の顔を見るなり立ち止まり
サッと逃げた、とても早く
今では家の門を開けるなり
目の前までゆっくりと歩いてきて
私の顔をじーっと見たあと
ドサっと倒れ、道を阻む
腹は十分に撫でさせくれるが
決して抱きあげさせてはくれない
猫は時々庭で飼ってるウサギのフレッグに
話しかけに行く
フレッグと金網越しに何か話し込み
話が済むとそれぞれに離れていった
猫は時々ファイトする
近所に住むストリートキャッツと
或いは長く生え伸びた草と
ファイトするのはいいが
草を飲み込んでは喉に詰まらせ
ゲーゲーする姿には胸が痛んだ
だめよ、と言ったところで
猫にはそれが止められない
猫、ブルーイ
初めのころその変な鳴き声にうなされて
夢に出てきた怖い猫
猫、ブルーイ
マザーが留守にする時
マザーが座るソファの前の暗がりで
鳴き声響かせ帰りを待っている
或いはマザーのベッドの上で眠っている
猫らしい猫
私がようやく猫を抱けたのは
家を去る日の前夜だった
ーひとりごとー
ずっと書きたかった家族ブルーイのこと
真夜中の声にうなされても病気でも
彼のことがだいすき!いつでも抱きしめたい!
(決してさせてはくれぬだろう…)
マザーはその鳴き声にほとほと呆れて
stupid boy!
poor boy!
などと辛辣な言葉で怒っているときもあるが
私は知っている
マザーは他の誰よりもブルーイのことを愛している
それから、ブルーイが草を喉の詰まらせているのを初めて見た時私は驚いてマザーを呼び事態を伝えた。マザーはいつもだと言ってあまり驚かなかったけれど、ストマック(胃)がどうのこうの言って、私の不確かなリスニング力ではストマックが・・何?と未だ疑問のままである。